第107話 魔術学園へ一歩踏み出す





 そんなこんなで俺とフランは魔術学園の入学式まで帝都を一緒に観光して周り、入学式には両家両親と一緒に出向いて無事に俺とフランは帝国立魔術学園の生徒となった。


 そして今日が初登校日である。


「ローレンス様、フラン様、馬車の準備が出来ました」

「ありがとう、キース。 さぁ、フラン、出かけようか」

「は、はいっ!」


 俺はキースが用意してくれた馬車へフランと共に乗り込む。


 しかしながらあのキースが執事然とした行動だけではなく武術だけではなく御者までできるようになうとは、出会った当初からは思いもよらなかった。


 自分的には良くてフレイムの助手的な感じで冒険者業の手助けをしてもらえれば御の字と思っていた為思っていた以上の成長具合に大満足である。


 そして俺とフランに使用人たちを乗せた馬車は半時間かけて魔術学園へと到着する。


 入学式の時に両親と一緒に一度訪れているものの、それでも学生として両親の付き添いも無い状態で魔術学園のシンボルの一つである大きな門をくぐると言うのは感慨深いものがある。


 それはフランも同じであるのか、繋いでいるフランの手が少しだけキツく握ってくる。


「それではローレンス様。 私は一度馬車を駐車場へ停めてきます」

「ありがとう、キース」


 そして俺はフランと手を取りながら一緒に魔術学園へ一歩踏み出す。


「な、なんだか緊張しますわね……」

「大丈夫だよ、フラン。 フランはこの数年間フレイムから色々教わって来たおかげで魔術の武術に関しては既に学園では上級生たちよりも強くなっていると思うよ。 それに僕もついているからさ」

「うん、そうですわねっ! 私にはローレンス様がおりますわっ!! それにフレイムお姉様に教えていただいた魔術も武術もございますっ!! それだけで何も怖いものなど何もございませんわっ!!」


 うん。 元気いっぱい、いつものフランだ。 ドリルの回転もギュルンギュルンと良い感じである。


 そして俺たちは校舎の前に置かれた立て看板にて自分の名前とクラスを確認する。


 ちなみに俺とフランは婚約者ということで同じクラスになることは決まっているので、離れ離れになってしまうというようなことがないのは有り難い。


 俺もフランも今まで貴族主催のパーティーというのは無縁であった為(俺もフランも既に婚約者は決まっているため、婚約者探しをする必要がない為と、俺もフランも爵位を引き継がないため顔見せとしても行く必要がない為)知り合いがいないのである。


 そして、知り合いがいない状態で初登校、初授業を迎えるというのはかなり心細いためやはりフランがいるというだけで俺もかなり精神的にも助かっている。

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