第105話 バッチリと聞こえていた
ちなみに今回俺は使用人や側仕え代わりとして俺が治した奴隷たちを連れてきている。
お父様からは使用人の人数は少ないのでは? と言われたのだが普通の感覚では確かにそう思えてしまうのも仕方がないとは思う。
別荘一つを掃除するだけでも一苦労であるにも関わらず、食事に洗濯、お風呂の用意にベッドメイキングなどなど、やらなければならない事は山ほどある上に、それらは住む家が大きければ大きい程大変になってくる。
いくら実家より小さいとはいえ公爵家が持っている別荘なのである。
そこらへんお小金持ちの平民がもつ別荘よりも数段大きいのだ。
しかしながら俺の奴隷たちは俺が想像している以上に成長していきている。
その成長スピードは乾いたスポンジに水を与えるかの如く魔術や武術を習得していき、掃除ならば風邪魔術や水魔術を駆使して俺たちがこれから住む別荘程度であれば奴隷一人でも楽々小一時間もかからずに終わらせてしまう程である。
そもそも魔術が便利すぎるのだが、この世界の魔術は未だに単色で扱うというのが主流らしく、魔術の恩恵を受けることができる幅の広さや可能性についてまったく気づいていないと言って良いだろう。
そして更に『魔術とは戦闘に使うもの』という価値観が強く、そのせいで炎の魔術が扱えても薪に火を点けるために魔術を行使するのは魔石を変えない貧乏人のすることだと貴族間では馬鹿にされたりする。
そういう文化や価値観のせいで、実家の書物を読んで得た知識では魔術に関してはここ数百年間ほとんど進歩していないとみて良いだろう。
ちなみにシシル含めたダークエルフ達は俺の影さえあればいつでも行き来できるので、ある意味ではダークエルフ数百人の隠密部隊も一緒に帝都に来ているようなものである。
「うん、どうやら足りないものはないみたいだね。 さすがお兄様。 次に使う人の事も考え日用品を補充した上で出ていったんだろうね」
「さすがローレンス様のお兄様ねっ!! ……でも、これじゃぁローレンス様とデートへ行けませんわ」
そして俺のお兄様が補充をしてくれていたみたいで買い出しに行く必要がなくなたのだが、そのことをフランは『さすがローレンス様のお兄様ね』と褒めてくれるんだが、その後にやはり一緒に街に出かけたかったと小さな声でつぶやいているのが聞こえてくる。
ここで唐変木のハーレム主人公ならば『え? 何だって?』とかほざくのであろうが、俺は唐変木でも朴念仁でも鈍感でもないのでバッチリと聞こえていた。
「でもそのおかげで時間が空いてしまったから時間を潰しに一緒に街へと繰り出さない? フラン」
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