第101話 他言無用
「とりあえず一年を通してやってみて、不具合や改善点があれば洗い出してくれ。 シシルたちの故郷へ大豆の苗の状態のものを渡すから、頑張って育ててくれ」
「あぁ、まかせろっ!! この命に変えても必ず育て上げてやるぜっ!!」
「いや、枯らしても別に怒らないから。 大豆よりも自分達の命の方を大切にして?」
とりあえず今のところは不安しかないのだが、これが上手くいけばわざわざ大豆を仕入れる必要がなくなるだろう。
そしてご飯が食べれるという岩佐を聞きつけたのだが、大きなことで、足元を見られる事なく醤油や味噌、豆腐などを作れるようになるという事である。
はっきり言って今現段階で足元を見られ始め、大豆の仕入れ値が少しずつ高騰し始めているので見切りをつけて自分達で育てようと思っていたのに所にある意味で大人数の従業員を雇用できたようなものである。
ならば大豆を作らない理由はない。
おりあえず大豆作りが軌道に乗り始めるまで数年はかかるだろうが、そうなれ値段交渉のストレスから解放されると思えば今から待ち遠しい。
その為にもぜひダークエルフの面々には頑張ってもらいたい限りだ。
「それで、大豆というものを育てるのは任せてほしいのだが、畑を広げれば広げるほど魔獣からの脅威が増すんだが……なるほど、そいつらと戦って強くなれって事かっ!」
薄々そうじゃないかと思っていたのだがシシル、お前絶対に脳筋だろ? とは思うものの口にはしない。
「それ、絶対に死人が出る奴じゃないか。 死人が出る方法なんて僕は嫌だよ? ちゃんと魔獣達に対抗できるだけ魔術を教えてあげるから、それで魔獣と出くわした時は対処して欲しいんだけれど? とりあえず手始めに風魔術をシシルに教えようと思うから、実際に使えるようになったら今度はシシルが村にいるダークエルフ達へと教えてやってほしい。
「はいっ!!」
そして俺は風がなぜ起きるのか、というのをシシルにコンコンと教えていると、俺たちより少し遅れて入ってきてテーブルへついたお父様とお兄様が俺の説明を真剣な表情で聞いているではないか。
お兄様に至ってはノートを広げて、俺の言葉をノートに書き写しているではないか。
「お、お父様……こ、この話が本当であれば風魔術の有用性が上がる大発見レベルなんですが……」
「そうだな。 実際に父親である俺も驚いている程だ。 そのためこの事はいつも通り他言無用で頼む」
「そうですね。 それとこの事はウェストガフ家だけが知っている方がいざという時の武器にもなるでしょうから……」
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