第94話 え? 違うよ?
「流石ご主人様ですっ!! 惚れ惚れした一撃、そしてあまり殺傷能力が無いと言われている風魔術でこの威力っ!! 本当に尊敬しますっ!! この前のご主人様の魔術に対する考え方もかなり参考に──」
「うん、そうだね。 でもこの猿程度だったらフレイムも簡単に倒せたよね? 何で僕を猿達がいるど真ん中に置いていったのかな?」
「それは当然ご主人様の勇姿をこの目に焼き付けるためですっ!!」
そして俺とフレイムがそんな会話をしながら倒した猿たちをひたすらフレイムの持っている収納袋へと入れて行っていると、その光景を少し遠くで見ていたダークエルフのお姉さんが何かを決意した表情でこちらに近づいてくる。
何故だろう……とても面倒臭い事が起こるような気がするんだが。
「師匠っ!!」
「え? 違うよ?」
「いえ、あなた様は今この時より私のお師匠様だっ!!」
「いや、だから違うよっ!?」
「それで師匠っ!! いきなりで悪いが私の話を聞いてはくれないかっ!?」
「何でっ!? 後何度も言うけど僕はあなたの師匠ではなからっ!!」
「おっと、これはすまない」
「やっと分かってくれたようで僕も一安心だよ、全く」
「私は敬語がどうも苦手でな、少しだけ荒い口調になってしまうのだが、生まれてこれまで二百年と少しこの喋り方で生きてきたのだ。 今更敬語を使えと言われても妙にうまく喋れなくてな、申し訳ない。 だが私が師匠を敬う気持ちに嘘偽りはないと信じてくれないかっ!!」
だめだ、こいつ話が通じねぇっ!!
とりあえず一対一での対話は不可能であると判断した俺は助けを求める為にフレイムに視線を向けると「そうでしょうそうでしょう。 私のご主人様はすごいのです。 あなたが先ほどのご主人様の一撃を見て弟子になりたいと思う気持ちも物凄くわかりますよっ!!」と、何故か少し誇らしげな表情でそんな事を喋っているのを見てフレイムはだめだという事が分かった。
「そうなのだっ! ドラゴノイドの女性よっ!! 後初めに私があなたを罵った事を詫びようっ! 私が間違っていたようだっ! すまなかったっ!」
「それについては何も思っていないので大丈夫です。 むしろまだ十歳のご主人様を猿達の中に放り込んだのを見てしまったら仕方のない事だと私も思いますので」
「しかしそれで私が騙されたおかげでこの運命的な出会いを果たしたのだと思うと感慨深いものがあるなっ!」
そして二人は波長が合うのか二人楽しそうに会話をし始める。 まぁ、確かにダークエルフの大きなおっぱいと出会えた……ではなくてこの世界で初めてダークエルフと出会えたという点で見れば感慨深い物はあるのだが、だからと言って弟子にするのはまた別問題である。
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