第84話死ぬわアイツ

「何を言ってんだッ!? どうせフレイムちゃんを奴隷にした糞野郎が無理矢理命令しているだけだろう? フレイムちゃんは今も自由になりたいと心の中で泣いている姿が俺には見えるっ! それに俺はこう見えてソロで冒険者ランクCなんだぜ? それこそ前組んでいたパーティーはもう少しでSランクという所まで行ったんだ。 当然そこのギルドでは『炎の魔術師』という二つ名だってあるガルク様だぞっ!? そんな俺だからこそフレイムちゃんを助け出す事が出来るってもんよっ!」

「言って聞かねぇんなら俺はもう知らねぇ。 だが俺はちゃんと忠告はしたからな?」

「オイオイオイ」

「死ぬわアイツ」


 どうやらここのギルドまでは俺の名は轟いていない様で俺の名前や二つ名を出しても、歓喜や称賛の声は聞こえず、『何言ってんだコイツ』というような雰囲気と共に場が一気に白けて行くのが分かる。


「クソッ! 貴様ら恥ずかしくねぇのかよっ!? 女の子一人でクエストに行かせて、しかもそんな命令を出している糞野郎を野放しにしてっ!! そうやって行動に移さず見ているだけのお前らも同罪だからなっ!! むしろこの俺がフレイムちゃんを助け出そうとしているのに邪魔をしようとしている時点でクズ以下だぜっ!!」


 本当に意味が分からない。


 こいつらには正義という感情はないのだろうか?


 目の前で女の子一人、高難易度のクエストへ行くのを誰も止めようとせず、フレイムちゃんを奴隷にした糞野郎に制裁をする為に動こうともしない。


 反吐が出るとはこの事である。


 しかしこのクズどものお陰でより一層フレイムちゃんを助けなければという感情が強くなったのも事実である。


 一秒でも早くこの地獄のような日々からフレイムちゃんを助けるために、俺はギルドの職員と談笑しているメイド服姿のフレイムちゃんの所まで歩いていく。


「ねぇ、フレイムちゃん」

「……なるほど、ここら辺で消息が不明になったんですね?」

「はい。 そのようです」

「ねぇねぇフレイムちゃんっ!」

「分かりましたではその付近を通るクエストを受けますので稼ぎが良い討伐対象があるクエストを持ってきてもらえますか?」

「あ、ありがとうございますっ! ありがとうございますっ!」

「フレイムちゃんっ!!」

「いえ、冒険者は助け合いでもあると思っておりますので」

「本当にありがとうございますっ!! 次何か要望がありましたらかなり融通を効かせていただきますのでっ!!」

「フレイムちゃ──」

「先ほどから何度も私の名前を勝手に口にしていますが、誰が私の名前を呼んでいいと許しましたか?」

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