第77話 感じ取れるオーラ
「あぁ、一応勘違いしては困るので娘のために弁明させてもらうのだが、娘から『どうすればローレンス様と一緒になれるのでしょうか? 私は一日でも早く一緒になりたいですわっ』と聞かれたからね。 なので『今日ローレンス君と同じ布団で寝れば良いよ。 ローレンス君が泊まっている部屋の鍵は持っているからね。 後はおとうさんに任せなさい』と返して娘のために父親である私が人肌脱いだという流れでこうなったのであって娘からローレンス君と一緒に寝たいと言い出した訳ではないからね? そこは勘違いしてはダメだよ? 娘は今日お父さんと一緒に寝たい気持ちを我慢してローレンス君と同じ布団で寝たのであって、そこを勘違いしてしまうとローレンス君が恥ずかしい思いをしてしまうからね。 やっぱり私は娘であるフランの父親だからねっ!!」
「わ、わかりました……」
「はっはっはっ! でも君は二番目だからそう落ち込む事はないよっ!! ただ、父親である私が一番であるというだけで、ローレンス君は二番目なのだからねっ!!」
なんだろう? なんで俺は今ダニエルさんからフランがどちらの布団で寝たいかというマウントを取られているのだろうか? しかもまだ朝露が乾かぬ朝一番にである。
そんな事を思っていると、フランが起きたらしくて俺の隣に来てくっついてくる。
「おはようございますわ、ローレンス様、お父様。 外が騒がしいので起きてしまいました。 そして、私はお父様よりもローレンス様と一緒に寝たいですわ。 もちろんローレンス様が一番でお父様は二番目ですわっ!!」
「そんな馬鹿なっ!?」
そしてフランは開口一番ダニエルさんに即死級の言葉を直球でぶち当ててしまう。
「はいはい、うちの主人が御免なさいね、ローレンス君。 主人には後でしっっっっかりといい聞かせておきますので許してあげてくれるかしら?」
そして床にへたり込み、滝のような涙を流し始めるダニエルさんを、いつからそこにいたのか奥さんであるリーシャさんがダニエルさんの首根っこを掴んで引き摺りながら消えていく。
その光景を見て、やはりリーリャさんには逆らわないでおこうと強く思うのであった。
◆
「やぁ、朝は失礼したね」
「いえ、大丈夫です」
そして鍛錬を終えて朝食を取るためにダイニングへと向かうと既にテーブルの席についているダニエルさんから謝罪を受ける。
しかし、表情こそいつものダニエルさんに見えるのだが、感じ取れるオーラはいつものできる男性というオーラではなくて雨の中打ち捨てられた子犬のようなオーラのように思えるのは気のせいだろうか?
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