第75話 嫌な予感
それから俺とダニエルさんとで細々な部分を調整していく。
一番神経を使ったところは売上の割合である。
俺は既に使用の許可として代金を頂いている上に、次回からも使いたい料理があればその都度使用料を払って許可をいただく話にはなったのだが、どうしてそこから更に売上を俺とダニエルさんで分けるのかが理解できなかった。
その事を素直に聞いてみると『それはそれ、これはこれである』と言うのだが『使用許可は使用許可、売上は売上』という事だと言うのである。 要は取れるところで取らないでどうすると言いたいようだ。
そしてそのやり取りが貴族の戦いでもあるのであろう。
そしてこういうところできっちりと隅々まで確認してから契約しないと後から足元を掬われてしまう可能性があるとも教えてもらう。
例えば、使用許可の料金だけもらったら後は好きにして良いと言って契約した数年後大ヒットしたりした場合は必ず揉め事になるのだという。
また、別の方法では月額制にするものもいるらしく『いかに長期にわたって搾り取る口実を見つかるか』が重要なのだという。
そして、それは関係を壊したく無い相手にこそしっかりと、後で問題が起こらないように契約を結んでおくべきであるとも教えてもらう。
その結果、使用許可の料金は今日頂いた金額と同じ、そして売上から俺が貰える金額は純利益から十パーセントという事で契約を結ぶ事ができた。
なんだかんだで為になった時間であったと言えよう。
それと、終わり間際ダニエルさんから『娘の旦那さんになる男なのだから自分の損はそのままフランや奴隷達の損にもなる事を考えてこれからは行動しなさい。 その考えが有れば今日みたいに使用許可の料金だけ貰って終わりという事も無いだろう』と言われてハッとしてしまう。
まさに俺にとっての金言とも言える言葉に俺はダニエルさんに何度も感謝して話し合いは終わった。
そして、これで俺は今日不労所得を得たということで、それは言い換えれば俺の夢であるスローライフも夢じゃなくなってきているという事でもある。
もうダニエルさんに足を向けて寝れないではないか。
そして俺は決意を新たに今日を終えるのであった。
◆
翌日俺はいやに寝苦しい為か目が覚めてしまう。
そしてそして、隣から柔らかな感触と甘い匂いが香ってくるでは無いか。
いやな予感と大量の脂汗をかきながら横になった状態で隣を見ると、ドリルをといた寝巻き姿のフランが俺の腕に抱きつきながら静かに寝息をたて、幸せそうに眠っているではないか。
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