第67話 全然大丈夫ですっ!!

「釣り? 良いけどマリアンヌが釣りしたいだんて、なんだか意外だったからびっくりしたよ」


 俺のイメージなのだが、確かにマリアンヌはお転婆な部分はあるもののそれは少女らしい活発さという意味であり男性などの好みそうな趣味をしそうという意味ではない。


 なので、まさかマリアンヌから釣りがしたいと言われるとは思わなかった。


「はいっ! 今まででしたら間違いなく『そんなものは女性が、ましてや王妃がやるようなものではござません』と言われてやらして貰えなかったものですから、せっかく今はそのやらせて貰えなかったものをやれる環境にいるのであればやってみたいな、と思いまして」


 しかし、マリアンヌのこの言葉を聞いて俺はマリアンヌが釣りを体験してみたいと言った理由を理解することができた。


 確かにやっちゃダメだと言われたものほどやりたくなるものである。


 それも、マリアンヌは俺たちが想像している以上に厳しい世界で生きてきたのであろう事からも、今まで出来なかったものをやってみたいという欲求は人一倍なのだろう。


 そしてその欲求がマリアンヌの好奇心と行動力に直結しているのだと思うと、普段のマリアンヌの少しお転婆が過ぎる所も納得である。


「うん、それじゃあ一緒に釣りをしようか」

「はいっ!!」


 そして俺とマリアンヌは今朝釣っていた岩場がある場所まで歩いて行く。


 そこは俺とマリアンヌがいるクヴィスト家の庭から徒歩十五分くらいの場所にある。


 ちなみに俺とマリアンヌの服装は怪我をしないために長袖に長ズボン、そしてデザインよりも安全性と強度を重視した靴に帽子をかぶっているのだが、普段のマリアンヌとは想像できない真逆なファッションは、それはそれでギャップがあり可愛いと思ってしまう。


 もとがとんでもない美人であるマリアンヌならばどんなものを着ても似合う気がするので、いろんな衣服を買ってあげたいなと思ってしまう。


「ちなみにマリアンヌはそこらへんにわらわらしているカニか、ワサワサしている草履の形をした虫は触れたり針にさせたりできる?」


 しかしこの釣りなのだが、男性が基本的に多い理由の一番の原因は間違いなく餌にあるだろう。


 ゴカイやユムシ、ミミズなどもそうなのだが、現地調達の場合ワラジ虫なんかもある上に、現地で調達するということは当然生きているというわけでありそれにカニは触れても針に刺すのは可哀想で出来ないという女性も多いのでもし無理そうだった俺が餌だけはつけてやっても良いだろう。


「アレだったらそこら辺にある貝を潰して──」

「あ、はいっ!! 全然大丈夫ですっ!!」

 

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