第62話 最強コンビ

「失礼な女性達ですね。 ご主人様が大丈夫と言えば大丈夫なのがなぜ分からないのか、私には全くもって理解できませんね」


 そしてすかさずキースが女性陣へと噛み付いていく。


 この二年間セバスに色々叩き込まれているようなのだが、いったい何処へ向かっているのかと思いたくなる。


 それでも執事用に用意した燕尾服を着こなしていると思えるほどに一つ一つの動作が様になっているところを見ると、俺の知らないところでキースもかなりの努力をしているのが伝わってくる。


「ちなみにもう一度言うけど全ての海の魚が大丈夫ってわけでは無いからね? それに陸の生き物でも寄生虫がいるように海の生物にも寄生虫は存在するからそれなりの知識は必要となるので俺の真似をして食べようとしない事だよ?」


 そして、なぜか爆上がりした忠誠心からキースが俺の真似をしかねないと思ったので取り敢えず釘を刺しておく。


 なんだかんだで一度言った事は命令でなくても守るので、その点に関しては信頼している。


 取り敢えず、この魚の生食に関してはこれから時間をかけて開拓していくのもそれはそれで楽しそうだ。


 俺やマリアンヌもいるのである程度安全面を確認した後にこのように実食、問題なかった魚をピックアップしていき、万が一体調が崩れた場合は俺のスキルで回復させればいい。 まさに最強コンビとは思わないかね? ワトソン君。


 そして元々この世界にはリンゴ酢はあったのでそれで酢飯を作れば、寿司がこの領地で食べれるのも近いのかもしれないが、さすがに生の魚を食べる文化を根付かせるには数世代に渡って根気強くやっていく必要はあるだろう。


 そしてリンゴ酢があるということは当然この世界のパンもふっくらとした焼き上がりなので、まだ産まれたばかりの俺が考えていた『ふっくらふわふわパンで荒稼ぎ大作戦』は速攻で夢潰えたのを思い出す。


 余談はさておきリンゴ酢でも酢飯は作れるようなのだが、食べたことは無いのでこれはこれで楽しみではあるのだが、せっかく寿司を作るのだから米酢を作るのは決定事項である。


 取り敢えず今のところは俺が訪問した時にうまい寿司が食べれる店が一店舗でもあればそれでいい。


「お兄ちゃん注意されてやんのっ。 ぷすぷす」


 そしてそんなキースを妹のメアリーが煽り、キースは全く効いていないし相手にもしていない風で突っ立っているのだが、耳がピクピクと動いているあたり妹の煽りは間違いなく効いているのがわかる。


 そして、なんだかんだでこの妹のメアリーもお兄ちゃんであるキースが大好きな事も。


「せっかくわたくしの領地に訪れていただいたのにそんなゲテモノを食べなくても、腕の良いシェフにわたくしの領地自慢の料理を出してあげますのに」

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