第63話 克服しそうで怖い
そして、俺が郷愁に浸っているとフランがご自慢のドリルをギュルンギュルンさせながらそんな事を言うではないか。
まぁでもこの世界の人からすればたとえ海沿いに暮らしていたとしても魚の生食はゲテモノだよな……。
「そんなものを生で食べたらお腹を壊しますわよ?」
「それはちゃんと対策してるから大丈夫。 もし寄生虫にあたっても僕本人に回復魔術をかけたら寄生虫も死ぬみたいだから心配しなくても大丈夫だよ。 むしろ僕だからこそできる食べ方とも言えるね」
そして、魚を生で食べる俺を心配してくれるフランに心配されたので大丈夫だと返しておく。
このスキル【回復】なのだが、初めはアニサキス的な何か(以降アニサキス)などにあたった場合は、あたっても俺自身にかけて痛みを緩和しようと思っていた。 そして実際に一度あたってしまった時に俺自身にスキル【回復】を発動した時、一瞬にして痛みが消えたのである。
俺的にはアニサキスが死ぬまでスキルを継続してかけ続ける必要があると思ったのだが嬉しい誤算であった。
スキル【回復】は、今までの実験で風邪や流行病も治せたのでそういう事だと今ならば理解できる。
風邪や流行病といえども原因は細菌やウイルスであり、スキル【回復】を行使すると治ると言う事は身体の中の細菌やウイルスは死滅したという事なのだろう。
そしてこのアニサキスにも同じことが考えられ、細菌やウイルスが死滅したようにアニサキスも死滅したのだろう。
そしてその理由にこのスキル【回復】がアニサキスにあたった状態を状態異常として処理している可能性があるという事である。
その為スキル【回復】をかけた場合あたって痛がらない状態に戻そうとする力が発動した結果、アニサキスは死滅したと言う事なのだろう。
万能すぎませんかね?
このスキルのレベルをこのまま上げて行くところまで行けば老いすら克服しそうで怖いんですが……。
「ま、まぁ……ローレンスが大丈夫ならば良いのですが……」
「心配してくれてありがとう、フラン」
「べ、別にっ、自分の婚約者の体調を心配することなど当たり前ですわっ!!」
「うん、そうだね。 でもその当たり前の事ができる事って簡単に見えて実はものすごく難しい事なんだよ。 そんな難しい事ができるフランはやっぱり魅力的で良い女性だと僕は思うよ?」
そして俺を心配してくれるフランを誉めてあげると、口では当たり前だと突っぱねるのだが二本のドリルは嬉しそうにギュルギュルと回転いているので本当にフランは分かりやすいな、と思う。
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