第51話 おじさん達の気持ちがわかる
そして俺は後方で球拾い、フレイムはキャッチャーを、マリアンヌとフランはピッチャーとバッターを交互に遊び始めるのだが、途中でピッチャーをやっていたマリアンヌがお転婆娘を発揮させて風魔法を使い始めて強引に変化球を扱い始めた時は流石にビックリしたのだが、流石異世界だなと感心もする。
そんなこんなでマリアンヌの魔球を使い始めてからはフランも魔球を使い始めた結果、高度な読み合いが始まり気がついたらあっという間に夕暮れであった。
余程楽しかったのか二人は夕暮れになっていた事にも気づいていなかったらしく、俺の『そろそろ戻ろうか』という掛け声でその事に気付いたらしく、そして俺やフレイムがずっと同じポジションで誰が見ても面白いであろうピッチャーやバッターをやっていない事にも気付いて謝罪してくるのだが、こちらとしては外で元気に遊ぶ姿を見るだけで楽しませてもらったので、それを説明した上で『気にしないで』とフォローを入れておく。
気分的には河川敷で少年野球を眺めるおじさんといった感じに近いだろう。
今ならば『見るだけで何が面白いのか』と前世の子供時代に思っていたあのおじさん達の気持ちが分かるというものである。
ちなみにフレイムが混ざらなかったのは力加減を誤ってしまいそうだからという事らしい。
そして、フレイム本人は『風魔法でピッチャーが投げた球の衝撃を吸収していたお陰で魔術の繊細なコントロールを身に付ける良い練習になりました』とは言っていたものの、もしかしたらフレイムも混ざりたかった可能性もあるので後日何かしら労ってあげようと思うのであった。
◆
そんなこんなで俺は目標のスローライフ生活に加えて新たな野望、幸せな家庭へ向けて着実に近付いているのを実感しつつここで気を緩めないで堅実に一歩一歩野望に向かって歩んで行こうと思いながらフレイムとマリアンヌの奴隷二人と共に街中を歩く。
今日フレイムと一緒に街へ来たのは他でもない、三人目の奴隷を購入する為である。
お父様に借りていた、フレイムとマリアンヌの代金も完済でき、ある程度資金も貯まってきたので、そろそろ自分で稼いだ奴隷がほしいと思ったからというのが大きいのだが、やはりそろそろ奴隷を増やして上前はね候補を取得したい所でもある。
とは言うもののまだまだちゃんとして奴隷を買えるだけのお金はない為、今日は下見と、欠損奴隷にダイヤの原石が転がっていた場合は購入しようかな、程度ではあるのだが。
ちなみにマリアンヌの顔には万が一を想定して他人に見られないように薄い白のレースをかけてある。
「お待ちしておりました、ローレンス様。 そして、マリアンヌ様も……本当に良かった……」
早速俺たち三人は最早行きつけと言っても良いいつもの奴隷商へと行くと、事前に連絡をしていないにも関わらずオークスが出迎えてくれ、マリアンヌの姿を見てうっすらと涙を浮かべていた。
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