第45話 フェチニズム
貴族という生き物はメンツで生きている節はあるものの自分自身も危ないと思った時は平気で足蹴にして池へと突き落とす生き物であるのだが、契約書へサインをしていたとなれば話は別である。
約束を破った場合、契約書を交わしていなければ所詮は口約束である為言った言わないで争う程度なのだが、契約書にサインしているにも関わらずそれを反故にするという事は法律上でも罰金刑がある上に、さらに『コイツは契約書にサインをしたにも関わらずそれを守らない奴である』というレッテルが貼られてしまい、特にこのレッテルがあまりにも痛すぎるのである。
そのダメージは貴族にとって致命傷と言えよう。
その為契約書にさえサインしてもらえれば、家を潰す覚悟がなければ反故にする事もないのでとりあえずは一安心という事である。
これで俺に火の粉が飛んできた場合はお兄様に助けて貰うことが確約されたと言っても過言ではないだろう。
そして、この後はお父様とお兄様とそれぞれの施設を建てる場所や、これら調味料や酒、チーズなどで得た利益配分などについて詰めていくのであった。
◆
夜、俺はマリアンヌにあてがわれた部屋へとフレイムと一緒に治療の為にやってきていた。
因みにフレイムは桶にお湯と身体を拭くタオルに着替えを持ってきてくれているのだが、メイド服を着たフレイムが、前では桶を抱えている為に残りは尻尾で籠の手提げ部分に引っ掛けてタオルと着替えを持ってくる光景はなんというか、ドラゴノイドがメイドさんしてくれている感を強く感じて俺は今とっても幸せを噛み締めている所である。
できる事ならばこの光景をデータで残してクラウドへ保存したい所である。
メイドラゴンなのかドラゴンメイドなのか、兎に角日本男児ならばそのソウルに刻まれた本能と言う名のフェチニズムで無条件に興奮してしまう俺の気持ちは分かってくれるだろうと、俺は信じている。
それにしても、昨日の一回で全てが治るとは思ってはみなかったものの、確かに酷くなった箇所は無いのだが、逆に何一つとして良くなった箇所がないのも不思議である。
恐らく俺のスキル【回復】のレベルは一しか上がっておらず現状二レベルであるのならば、一回で治らないのも仕方がないのかな? とも思う。
もしかしたらある一定期間毎日スキル【回復】行使し続ける必要があり、レベルが上がる度にその日数が少なくなってくるというのがこのスキルの能力であるのではと俺は考察していた。
ゲームでは即能力が発動して数値として結果が見えるのだが、やはりゲームと現実とでは少なからず差異は出てくるという事なのだろう。
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