第9話 内務大臣・ホーマー 思わぬ方向への好転

事態は思わぬ方向に好転した。反乱のリーダーであるスミルナが倒されたのだ。倒したのは同じ反乱軍の男。内輪もめだ。


政府にも強硬派と穏健派がいるように、反乱軍内部にも強硬派と穏健派がいたのだ。


交渉相手が変わったことにより交渉は進んだ。


反乱を殲滅するか、未払い給与の即時支払か、その2択でこれまでの交渉は進んでいた。そこに第三の道が提案された。


それが「冒険者ギルド」の設立である。


知事の提案により、元兵士の受け皿となる新たな職種が設立された。戦争が終わったとはいえ、世の中には魔物が溢れている。しかし国には金がない。魔物がいると商業ギルドの商人たちは商売ができない。そこで商業ギルドが討伐や護衛の依頼を冒険者ギルドに行う。これまでは個別に武力のある護衛を雇っていたりしていたが、それをより短期間で小規模に依頼できる形にする。依頼の報酬や商人の売買が増えれば税収が増える。


つまり、政府は失業者を減らせるので嬉しい。元兵士は仕事を得て金が稼げて嬉しい。商人は小さい単位で護衛や討伐を依頼できるので嬉しい。三方良しというわけだ。

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