第5話 内務大臣・ホーマー2

ホーマーは信頼の置ける部下と会議を開いた。


「元兵士たちは知事を人質にとって庁舎に立てこもっています。戦力的には鎮圧可能です」ホーマーの鎮圧を担当している親衛隊の将校が報告をする。親衛隊は内務省の管轄下にある国内軍だ。


「相手の要求は何だ」


「すべての兵士、元兵士に対して過去10年のすべての未払い給与の即時支払いを要求してます」


「すべての?そんなのは不可能だ。物理的に支払い不可能だ。話にならん。現実的な条件を出して交渉しろ。交渉が決裂したら鎮圧しろ。殲滅してもかまわん」


「要求がのまれない場合、全国の元兵士が反抗を起こすだろうと反乱のリーダーは言っています。もし全国で同時に反乱が起こったら、親衛隊の人数では鎮圧不可能です」


「その話、信憑性はあるのか?」


「扇動しているのはスミルナという元・兵士ギルドで地区代表をしていた男です。おそらく、他の地方の元兵士ともつながりがあるのでしょう」


ホーマーは全国で反乱が起こることを考えた。治安維持は親衛隊と内務大臣である自分の責任だ。失脚の原因になるかもしれない。失脚しなくとも、そのせいで次期首相を逃す可能性がある。


「なるほどな。それでは鎮圧は慎重に、交渉で妥協できる条件を探ることにしよう。しかし甘い顔をを見せてるなよ。反乱を起こせば金がもらえると思われても困る。アメとムチだ」

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