手紙











 高野が辿り着いた時、家には十になった養子の悠志ゆうじしかいなかった。


「父上。どうぞ。乃藤さんから預かりました」


 ずいぶんと凛々しい顔つきになった悠志が手渡したのは。

 すでに必要事項が記された離婚届けと。

 ありがとうございましたとの一文が書かれた手紙だった。











(2022.5.21)


 

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