第108話 お見送り その2

 

「"へい、ブラザー! 逮捕しにきたぜ! 危うく逃げられるところだったな!"」


 そんな声に振り向くと、警察官の制服を着たジョニーさんたち――チーム『ブレイバーズ』のみなさんがいた。


「"みなさん! 今日は大切な初勤務の日だから来れないって言っていたんじゃ……"」


「"今朝、警察署に隊長様が来てな! 『今日は空港に見回りをしに行け』って言われたんだ。上官命令なら仕方がねぇだろ? 今は休憩時間だ"」


「"あはは、レベッカさん。昨日電話がかかってきて、俺に出発の時刻を聞いてきたんですがそういうことでしたか……本当に粋な人ですね"」


 ブレイバーズの皆さんは一人一人俺と握手とハグをしながら談笑する。


「"兄弟のおかげで小さい頃からの夢が叶っちまった!"」

「"孤児院でもらったパトカーのオモチャをずっと宝物にしてきた俺が本物のパトカーに乗れたんだぜ! 信じられるか!?"」

「"警官の巡回ルートには孤児院の周りも新たに追加してもらったんだ! これまで以上に治安を守れるぜ!"」


 俺は迷惑をかけただけのはずなのに、逆に沢山感謝されてしまう。


「"俺のおかげじゃないですよ。皆さんのこれまで活動や努力が、実を結んだ結果です"」


 全員との別れの挨拶を終えると、『ブレイバーズ』のみなさんは一列に並ぶ。

 そして、ジョニーさんたちは背筋を伸ばした。


「"兄弟(ブラザー)、どんなに離れてても俺たちはファミリーだ"」

「"また悪い事したら、今度は捕まえに行くからなー!"」

「"給料が溜まったら日本にも遊びに行くからよ"」

「"向こうでも、お前らしく元気にやるんだぞー!"」


 口々にエールを送ると、全員で敬礼した。

 その姿を見て、俺は思わず笑ってしまう。


「"敬礼のポーズ、全員バラバラじゃないですか!"」


「"悪いな、まだ習ってねぇんだ。今はこれで我慢してくれ"」


 世界一信頼のできる新米警官たちはそう言って笑った。


――――――――――――――

【業務連絡】

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