第27話 新しいスキルが開眼したってお話
しかし
ウィリアムの触手攻撃は躱せる事には躱せるが、俺には武器が無い。先生を助ける時に放った折れた剣を拾っても余り役には立たない。矢張りウィリアムが手放した魔法の剣を拾うべきだな。
未来視で俺が魔法の剣を拾う未来を探し出す。未来は俺の行動一つ、ウィリアムの行動一つで様々に分岐する。その幾つも有る未来から剣を拾う最適解を探し出した。
ウィリアム周辺の遮蔽物は触手によって殆どが破壊されている。
瓦礫の中に立つウィリアム。
頭、腕、腿には触手が刺さり吸血装甲の傀儡と化している。青く血の気の無い顔に黒化した黒い瞳に白い眼球がギョロギョロと俺を探している。だいぶお怒りのウィリアムだ。
ウィリアムの正面に距離を離して姿を見せる。
「コロロロスコロスコロコロススススッ!」
もう何を言っているのか分からないウィリアムが、吸血装甲から四本と両手の二本の触手を俺に放つ。
俺は未来視で見た未来となる行動を起こす。左、左、左、と走り、触手を掻い潜り右に大きく走る。反応出来ていないウィリアムに近接して渾身の力で顔面パンチ。これで終わってくれたら良いのだが、そうで無い事は既に未来視で確認している。
吹き飛ぶウィリアムを追い掛けはせずに、ウィリアムが手放した魔法の剣を拾い、一旦遮蔽物の影に隠れた。
俺は遮蔽物の影から右目で遮蔽物を透過出来る【透視】レベル中、左目で【急所】を使う。
立ち上がるウィリアムの体に赤いポイントが現れる。頭と首……。うん、それは分かっているんだ。でもそこは死んじゃうよね!
【急所】スキルは相手を倒すためのスキルで、俺がいま見極めたいのは吸血装甲の弱点だ。
俺は山暮らしが長かった事もあり、物品系の鑑定スキルが無いんだよな~、って泣き言は言ってられないよな!
見る! 見る! 見る! 【急所】でひたすら吸血装甲を見る! 血眼になって吸血装甲を見まくる。
【
急所と正鵠は同義では無いが、狙うべき場所という意味では一緒だ。俺が弓が好きってのも影響しているのかもしれない。
新しい魔眼【正鵠視】を使って吸血装甲を見る。光る的の様な物が三カ所、右胸、左胸、腹部に見える。あれが吸血装甲の急所か?
右目に【加速視】、左目に【正鵠視】を使いウィリアムに接近する。吸血装甲から伸びる四本の触手。ゆっくり流れる加速世界でそれを右に交わして近接。右胸の光る的に魔法の剣を突き立てる。
右胸の装甲が砕け、赤い宝石の様な物が現れる。更に俺はその赤い宝石に剣を刺して破壊する。
「やったか!」
一瞬の油断。ウィリアムの右腕から伸びる黒い触手。流石に近接しているだけに躱すだけの時間が無い。破壊した右胸のコアは再生を始めている!? っていうかヤバい! 左側には伸びた触手があり、右側からは俺を捕まえるかの如く右腕を伸ばし、かつ触手も伸びてくる。
【加速視】に魔力を注ぎ時間を引き延ばそうとした矢先に、俺の視界に二人の美少女が飛び込んできた。
美少女の空中ダブルキックがウィリアムの顔面に炸裂! 「ブヒッ」と言ってウィリアムが後方に吹っ飛んでいく。
俺の前に銀色の髪の双子の美少女が、ダブルキックの反動で宙に舞いクルッと空中一回転をして、シュタっと着地した。
「加勢に来ましたアベル君!」
銀色の髪の毛に、前髪だけ左右に一房ずつの赤いメッシュを入れたソフィアさん。
「あれはヤバい。吸血装甲は禁忌のデビルアーマー」
ボソリと愛想無く言うルフィアさん。
「助かったよ。ありがとうソフィアさん、ルフィアさん」
【加速視】を解き二人に御礼を告げる。加速世界では普通の会話が非常にし辛いからだが……。
「あ、アベル君……鼻血が……」
「矢張りアベルは変態。こんな時でも発情してる」
デフォルトの【透視】に戻った俺が見てしまった美少女の素肌……。でもな! 発情はしてないから!!
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