第7話 入学式 学院長推しだった?ってお話

 入学式。


 広い講堂に集まった王立リムフィリア学院第一期生140人。20名毎の七クラスに分かれていた。俺は三組と呼ばれるクラスでミアさんやコレットさんも同じクラスだった。

 因みに俺達が一期生の為、二年生や三年生はいない。


 ブレザーなる学院服を着せられた。ネクタイが息苦しく感じるのは俺だけだろうか?

 あと、女子生徒のスカート短くないか? 風が吹いたら見えてしまうと思っているのは俺だけでは無いはずだ!


 領主様の長い話しや学院長先生のありがたい話しが終わり、生徒代表では入学試験トップのミアさんが壇上に上がり熱い話しをしていた。


 年間スケジュールの案内があり、今月は生徒会選挙なるものがあるらしい。壇上で学院長先生が生徒会選挙の説明をしている。


 今年に限り生徒会選挙は二回行われるとか。一回目は入学試験上位10名が候補者、二回目の六月は立候補による選挙との説明だった。


 学院長先生の説明はまだ続いた。生徒会は会長一名、副会長二名、書記二名、会計二名の計七名。更に後日には委員会や部活動会などの組織編成が行われるとか?


「え~尚、他薦により副会長一名は決定しています。三組のアベル君。宜しくお願いしますね」


 ん? 今、何かサラッと凄い事言って無かったか? 俺の周囲がザワついているが?


「おいアベルって誰だ?」「うちのクラスだってよ」「えっ、エロ魔人の人?」「何でアベル君が?」


「アベル君。前に出て来て下さい」


 壇上の学院長先生が俺を呼んでいる。やはり気のせいでは無かったみたいだぞ!? マジか!

 仕方なく俺は壇上に上がった。全生徒が俺を見ている。


「彼を任命したのは私です」


 学院長推しだった? 何故に?


「彼の能力は特殊です。私としては、しばらくの間はアベル君には部活動に入って欲しく無いのが理由です」


「学院長先生! 其れは不祥事が起きるからですか?」


 女子生徒がトンデモ発言をする。


「あ、それ分かる! 他校戦とかで新聞沙汰になるよね」

「女性無観客試合とか?」

「学院取り壊しの可能性も……」


 昨日の事件で女子生徒達の俺の評価はだいぶ悪いみたいだな!

 女子生徒の意見に、意味分からない男子生徒達が情報を聞き出していて講堂内はだいぶガヤガヤしていた。


「アベル、裏山過ぎだッ!」「俺のギフトと部屋も変わってくれ!」「神かお前はッ!」「盗撮写真撮ってくれ!」「俺は下着所望だ!」


 昨日の状況を理解した男子生徒達もワイのワイのと囃し立てる。そんな状況を学院長先生はニコニコと見ていた? いいのか!?


「皆さ~ん、分かって貰えたかな? 夏の二期選挙はアベル君を私は推さないから、今期だけは大目に見て下さいね~」

「「「は~~~~~~い」」」


 何故か皆さん納得して俺の副会長役が決まってしまったぞ? 本当にいいのか!?



 教室に移動すると俺の席の周りには野郎共が集まって来ていた。


「何でお前だけ女子寮なんだ?」

「ミレリア様と相部屋ってマジかよ?」

「盗撮写真1枚1銀貨で買うぞ!」

「使用済み下着なら金貨1枚出すぞ!」

「女子寮の大浴場とか行ったか!」


 ワイのワイのと男子生徒達が賑わっているが……。


「お前らさ……、女子の視線がヤバい事になってるぞ」


 教室の女子生徒達が冷たい目で俺達を見ている。隣の席のミアさんと視線が合うとプイっと横を向かれてしまった。


「あ、アハハ」「まあ、宜しくなアベル」「楽しい学院生活にしような」


キーンコーン、キーンコーン♪


 教室にある四角い箱から鐘の音が聞こえてきた。


「何の音だ?」

「授業前の予鈴よ。貴方達も席に戻りなさい。先生が来るわよ」


 ミアさんの注意で俺の席に集まった野郎共が自席へ戻り、程なくして先生が入ってきた。先生は入寮手続きをしていたお姉さんだ。若くて美人な先生に男子生徒達は否が応もなく盛り上がった。


 午前中は教科書や色々なプリントの説明で終わった。


 昼の鐘が鳴ると俺に声をかけてくる男子がいた。背の高い赤髪の男子と背の低い焦げ茶髪の男子だ。


「アベル、一緒に飯に行こうぜ」

「お前は?」

「俺はリックで、コイツはマルセルだ」

「宜しくアベル君」


 赤髪のリックは快活そうで、焦げ茶髪のマルセルは真面目そうだった。


「アベルだ。宜しく」

「知ってるつーの!」

「アハハハ」

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