第6話 アベル君責任取ってよね!ってお話
俺は女子寮の食堂で呆然としていた。ビュッフェスタイルと言うらしいが、色々な料理が棚に並べられていて食べ放題らしい!
「食べ放題じゃないわよ」
「えっ!? そうなのか?」
「幾ら食べてもいいけど、一度にお皿に沢山盛ってはダメ。少しづつ取るのがマナーよ」
「はあ?」
「先ずは前菜やサラダから」
「肉はダメなのか?」
「前菜やサラダを二、三種類盛って一度席に戻って食べるのよ。次にメインのお肉、お魚やパスタ、最後にデザートの流れよ。パンとスープ、ドリンクはいつでも良いけど食べ残しはダメ。分かった?」
「あ、ああ?」
ミアさんに言われた順に料理を食べていく。
そしてデザート! ケーキ? 何コレ! 甘い! 美味い! おかわり!!!
俺がモリモリと料理を食べていると向かいに座っているミアさんが何故かニコニコと俺を見ていた?
「ミ~アちゃん」
俺は食事、ミアさんがお茶を飲んでいると緑の色のお下げ髪の美少女が話しかけてきた。
「コレット」
「アベル君とお食事?」
「ええ、アベルってマナーのマの字も知らないのよ」
「田舎者なんでね」
「あ、ホラ! スープは音を立てずに飲むのよ!」
「へいへい」
「ミアちゃんは随分と仲良くなったんだね」
「な、仲良くなんかないわよ! アベルが何も知らないから教えているだけよ!」
「へぇぇぇ、ふぅ~ん、そうなんだぁ~~~」
「な、何よその目! そうに決まっているでしょ!」
「アベル君、ミアちゃんを宜しくね」
「おう」
「な、何が『おう』よ! 宜しくするのは私でしょ!」
「ンフフフ~。ミアちゃん可愛い~♪」
ミアさんは赤い顔でなにやら怒っているが、コレットさんはとても愉しそうだ。二人は仲の良い友達なんだな。
◆
《ミア視点》
はあ~。今日は疲れた。まさか男の子と相部屋になるなんて聞いてないわよ姉様! 忘れちゃったテへ♡じゃ無いわよ!
夕食を食べ終えて部屋に戻るとアベルは直ぐにベッドに入り寝ようとしていた。慌てて私は止めて歯磨きや手洗いをさせた。全くどんな生活してきたのかしら!
そんな彼は既にベッドで熟睡している。女の子と一緒の部屋で緊張とかしないのかしら!
私だけ、緊張しているのは?
……何で緊張しているんだろう?
……あ~もう、ヤダヤダ!
アベルっていったい何なのよ!
100%田舎者は確定ね!
エロギフト透視の魔眼。変態確定よね!
特待生って……どういう事? 王立学院は超名門なのよ。貴族の子息ってだけでは入学も出来ないわ。私だってコレットだって難しい試験を受けたのに……。透視ってそんなに凄いの……?
……違う。アベルは透視だけじゃ無い……。ハイシャル先生も認めた診察眼。他にもきっと魔眼の派生スキルを持っているんだわ……。そんな事って有り得るの? レア系ギフトはそれ自体が強力だから、派生スキルとかって無かったんじゃ……?
でも私は彼の診察眼に命を救われた……。
まさかあのホクロがメラマニン病だったなんて……。
最近出来たホクロで気にはなってたんだけど……。
メラマニン病。発症したら治癒魔法でも助かる確率が少ない難病。助かっても体中に醜い痣が残る……。そうなってたら多分私は……自ら命を絶っていた……。助かる方法は早期治療だけ……。私、アベルに体を見られて……運が良かったな…………。
あああああぁぁぁぁぁ!
あの足蹴りはダメだったよおおおぉぉぉ!
下からのあの角度!
絶対見えてるよおおおぉぉぉ!
アベル責任取ってよねぇぇぇ!
…………責任?
あああぁぁぁ!
何よ責任ってえぇぇぇ!
どういう事よおおおぉぉぉ!
入学式の前日……私は眠れなかった……。
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