第4話 下からのアングルはヤバいから!ってお話

「ミ、ミアちゃん、パンツ見えちゃうよ」

「大丈夫よ。スパッツ履いてるから」


 ピンク色の長い髪の美少女ミアちゃんが「大丈夫よ」と言って、緑の色のお下げ髪の美少女に手を振りながら俺の顔を足でグリグリしている。


 簀巻きにされた俺は、腰に手を当てて仁王立ちしている女子生徒達に囲まれ、美少女ミアちゃんの足で顔面足グリ状態になっていた。


 全然大丈夫じゃないぞ! スパッツとか関係無いから! 超丸丸丸見えですから! 下からのアングルってマジでヤバいから!


 仁王立ちしている皆さん! せめて胸の前で腕組んで仁王立ちしませんか! 腰に手を当ててふんぞり返ってるとモロ見え何ですが! しかも下からのアングルってマジでヤバいから!


「……め……眼鏡……ヤバい……から……」


 鼻血大出血でドクドクとドキドキが大暴走中だ! 俺は全力で目をギュッッッと閉じた。


「眼鏡じゃ無いわよ! この変質者ッ! 女子寮でッ! 私の部屋でッ! 何やってたのよッ! ちょっとッ! 目を開けなさいよッ!」


 美少女ミアちゃんが俺の目を指で強引に引っ張り開ける!? や、やめてぇぇぇ!


「さっきから廊下をキョロキョロしてて怪しかったのよね」

「そのボサボサ髪、どう見ても変質者よ!」

「あたしは、てっきり学校関係者かと思っていたわ。まさかの変質者! 犯罪者ね!」

「あ、学院長先生が来ましたわ!」


 その声に女子生徒達が廊下の向こうを振り向く。

 ウェーブのかかった長い金髪の美人なお姉さん。め、メロンが凄い! ぶるんぶるん揺れて、ピンク色のサクランボも右に左に揺らしながら走って来た美人学院長先生。


 ボンキュッボンのナイスバディな大人の魅力的な体に、俺は更に鼻血を大量に放出させた。


「あ、アベル君……!? た、大変、眼鏡、眼鏡は何処!?」


 慌てて美人学院長先生は手で胸と小股を隠した。


「眼鏡なんかどうでもいいです! 変質者が女子寮にいたんですよ姉様!」

「兎に角眼鏡よ! 彼の眼鏡は何処!」

「眼鏡なら多分私の部屋ですが、そんな事よりも警察です姉様!」

「ち、違うのよ! 彼は生徒! か、彼は【透視】の魔眼ホルダーなのよぉぉぉ!!!」


 シーーーんと静まり返る女子寮の廊下……。


 サーーーっと青ざめる女子生徒達……。


 ササッと慌てて女子生徒全員が胸と小股を手で隠し、


「「「きゃあああああああああああ!」」」


 記念すべき寮生活初日に女子生徒達の悲鳴が響き渡った……。



 緑の色のお下げ髪の美少女が慌てて俺の紫色の魔眼封じの眼鏡を取ってきてくれた。美少女裸族軍団タイムの終了だ。……ホッ。


「……ね、ねぇ、見た?」


 ピンク色の長い髪の美少女ミアちゃんが、恐る恐る俺に聞いてくる。俺は全力で首を横に振った。


「絶対見たよね!?」


 ピンク色の長い髪の美少女ミアちゃんが、涙目で俺の胸元を握り、ゆさゆさ揺さぶりながら聞いてくる。俺は全力でブルブル首を横に振った。


「絶対見えちゃたよねえええ~~~!?」


 ピンク色の長い髪の美少女ミアちゃんが、涙をポロポロ零しながら俺の胸元を握り、ブンブンブサブサゆさゆさ揺さぶりながら聞いてくる。

 俺は全力でブルブルブルブルブルブルと首を横に振った。……バッチリ見えましたって言ったら殺されるよね?



「ごめんミア~~~」


 俺は簀巻きから解放されて美少女ミアちゃんと美人学院長先生とで寮長室の豪華なソファーに腰掛けていた。


「アベル君の事を伝えるのスッカリ忘れちゃった~テへ♡」


 学院長先生は自分の手で自分の頭をポクって殴った。


「テへ♡っじゃ無いです姉様! み、み、見られちゃったんですよ!」

「事故よね~。貴女だけじゃないし、減るもんでもないし、ねぇアベル君?」

「む、無茶振りしないで下さい!?」


「アベル君も眼鏡が無いなら、目を瞑っていたらよかったのよ」

「……全力で瞑ってたんですけど、こじ開けられました……ミアさんに」


 ミアさんがバツの悪い顔になる。


「し、知らなかったのよ! コイツがそんな変態魔眼持ちだなんて! 姉様、コイツを即刻退学にして下さい!」


 入学もしてないのに退学? マジか?


「ミア、今日のは事故よ! そんな事でアベル君を退学には出来ないわ!」


 ピシッと院長先生が締める。


「それにアベル君は入試免除、学費免除の特待生よ。お父様も彼の能力には一目置いているわ。それに彼を推進したのはあのエリミア様よ」

「えっ? わ、私だって試験受けたのに。それにお父様に、エリミア様って。貴方……王族?」

「俺が王族ぅ!? んな筈あるかい!」


「彼は王族じゃ無いわよ。名も無き小さな村の少年よ」

「……じゃあ何で?」

「貴女にもそのうち分かるわよ」


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