第3話 いざ教会へ

 いよいよ教会へ行き自分の素質を調べる日がやってきた。


 今日もいつも通り8時ぐらいに起床し、そのあと朝食を食べてからうちの領内にある教会へ行くために馬車に乗っていた。


 因みにこの世界の1年は360日であり、1か月30日それが12か月あり、1週間が7日1日が24時間、1時間が60分、1分が60秒となっている。


 それから日本でいう曜日が月曜日から、火の日、風の日、水の日、闇の日、雷の日、土の日、光の日となっているのだ。


 こんな感じで地球の時とさほど変わりがなくて異世界でもこんなもんなんだなぁ…、としみじみとシオンは思う。


 それにしても文明レベルが中世ぐらいだからか馬車に乗っているときの尻の痛さは尋常じゃない。シオンは平気な顔をしている両親を見て不思議になった。


「父さん母さん、馬車ってこんなに尻が痛くなるものなの?」


 そう聞いた瞬間父と母が吹き出した。


「え、な、なに?」


 突然笑い出した両親にシオンが怪訝な顔を向ける。


「ハハハ。いや、レイとアルもお前と全くおんなじ反応してたからな。やっぱ兄弟なんだと思っただけだよ」


「ふふっ。二人も初めて乗った時痛がってたわね。それに私も昔初めて座った時は座り心地が悪くてびっくりしたわね。でも移動手段は魔法以外はほとんど馬車だから乗る機会が増えると同時にそのうち慣れるわよ」


「あー、確かにあのころシオンみたいになんでこんな痛いんだって散々思ったな」


「なんで改良されないんだろ……」


「それはやっぱり改良するとなると難しくて金もかかるからじゃないか。それにどうせみんな慣れるしな」


 シオンはそれを聞いて次馬車に乗る機会があったら絶対クッションとか作って尻が痛くならないようにしようと誓った。




***




 出発してから数十分経ってようやく教会についた。


 教会の外観は前世でいうところのキリスト教の教会に近い。


 シオンはこの世界の宗教はどのようになっているのか気になり、馬車に乗っている間に母に聞いてみた。


 母曰く、この世界には特定の種族だけにしか伝わらない宗教を除き、一般的な宗教は二つあるらしい。


 前世でいうキリスト教に近く、この世界の創造神であるアルマテレスを信仰するアルマテレス教。仏教に近く様々な神がいるラッダ教。


 前者は主にうちの国含めて主な国が信仰している宗教であり、後者は少し遠いところで盛んな宗教である。


 


 そしてシオンはついに教会の中に足を踏み入れる。


 教会の中は華やかさと厳かさが絶妙にマッチしている装飾だった。


 入ってすぐこの教会の関係者であろう人が出てくる。


「お待ちしておりました。フォードレイン辺境伯様。今日は事前におっしゃられた通りご子息様の素質を調べるとのことでよろしいですか?」


「ああ、よろしく頼む。シオンこの方はアルマテレス教のスティム司教だ」


 どうやらこのご老人は司教様のようだ。


「初めましてスティムさん。フォードレイン家三男のシオンと申します。今日はよろしくお願いします」


 できるだけ礼儀正しく挨拶をしたら、スティムさんはちょっと驚いた顔をした。


「初めましてシオン様。スティムと申します。確かシオン様は3歳でしたよね?受け答えがしっかりしていて正直驚きました」


「そ、そうですか?」


「ええ。今までシオン様と同じくらいの子供を数多く見てきましたがシオン様ほどしっかりしている方はみませんでしたね。シオン様の兄であるレイ様とアルト様もあの年にしてはしっかりしていましたが…」


「どうもシオンはこの年にしては異常なくらい頭が良くてな、俺たちもはじめは驚いたよ。最近は慣れたが…、やはり驚くものか」


「ええ。将来が楽しみですね。さて、それでは測定のための部屋に行きましょうか」


 と、本人そっちのけでシオンについて話していた。


 やはりシオンはこの年にしては異常らしい。

 まあそんなことを言われても精神年齢20超えてるので、シオンからしてみれば今更子供っぽくしろというのは無理だった。


 どこかでぼろが出るのは分かり切っているので、それなら初めからさらけ出してしまえばいいという結論に至ったのだ。


 そしてシオンたちは測定をする部屋に入った。



「それでは測定をしていきましょう。一応今一度説明いたします」


 司教のスティムがシオン達三人に体を向けて説明し始める。


「まず一つずつ各属性に対応したすべてで九個の特殊な魔石に触れていただきます。そしてそれぞれに触れた時にこの目盛が反応しますので、その数字を確認していただければそれで終わりです。ではさっそく火属性から測定していきましょうか」


 そしてシオンは火属性の魔石から順番に触れていった。




***




「これは素晴らしい!今までで一番ですぞ!」

 

「おいおい素質はかなりあるだろうとは思っていたが…、これは想像以上だ。とんだ傑物が生み出されちまったぞ…」


「あらあら~。素質だけでいったら私以上じゃない~。素晴らしいわ!」


 測定がすべて終わった後、各々が感想を言っていた。


 自分で言うのもあれだが、シオンは明らかに素質のある属性が多いと感じた。


 結果でいえば、火が三、風が六、水が七、土が三、氷が八、雷が七、光が四、闇が六、無が五、となった。


 普通は複数素質がない属性があるものなのだが、シオンが持っていない素質は火属性と土属性だけである。


 そして水が七、氷が八、雷が七、という三つもの属性が七を超えている。


 シオンの家族は皆化け物なのであまりピンとこないが、素質だけでいったら王国内でも最高峰ともいえる。


 前世には無かった魔術という超常の力。


 自分に才能があることが分かり、これから先のことを考えてワクワクした。


 そしてシオンはこの時初めて決意する。



 

 

 世界最強の魔術師になるということを。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る