第8話
「ふぁ〜よく寝たわ!」
新緑の匂いを感じ爽やかな気分で起きた。
枕兼背もたれにしていた袋はいい感じだった。
「どっこらしょー……アイツらどんだけ溜め込んでたんだ? 」
軽く30kgはある硬貨に少し引いた。
まだ朝早かった事もあり少ない人数だけ並んでいたので俺も後列に並んだ。
「次!身分証を出せ!」
おや? 俺の番が来たようだ。
「すみません、身分証無いんすよ。お金いくらかかります?」
俺はそう伝えると門番の兵士は水晶玉を俺の目の前に出したので触るの青く光った。
「銀貨2枚だ。何かしらのギルドに登録する事を勧める」
サップ用の袋開けると銀色の硬貨があったので2枚渡す。
「よし!あ、ちょっと待った。久々だから忘れてた。これか滞在許可証だ。身分証発行してもらった場所に渡してくれ。
発行する気が無いなら、期限までは使えるが期限が切れたら豚箱行きだから気を付けろよ?」
そう言って木札を手渡して来た。
俺は受け取りお礼を言って門をくぐるとそこは雄大で……なんて事もなく普通の街だった。
そこそこな街並みにそこそこ人通りがありそこそこ発展してるそんな普通の街だ。
「まぁ、田舎とか都会よりも普通が1番過ごしやすいんだよな」
これは持論だ。
田舎では遊びや娯楽は少ないが横の繋がりや自然が近くにある為、物や食べ物に困る事は少ない。
都会は娯楽や人が多い代わりに1度堕ちたらもう這い上がるのは難しい状況になる。
中間地点は多分ハーフメリット・デメリットって奴だな。
人さえ気にならなければ如何様にもなるってことだ。
まずは身分証を発行する為に……あれ?俺って字読めなくね?
言語理解のデフォすら搭載されてないの?
嘘ーん。
聞く話す読む書くは異世界基本セットだと思うんだけどなぁ。
鑑定もなけりゃステータスもない。
どうやって生きてくのんこのクソゲー。
仕方ないから噴水の置いてある広場に向かう途中で屋台でいくつか買い物をしていると
裏路地から香ばしい喧騒が聞こえてきた。
耳をすませば……
『おう姉ちゃん今日こそはお前の親父の借金お前の体で払ってもらうぜぇ!』
おっふ!テンプレや!
すかさず俺は気配を消して木箱に座り観戦スタートだ!
右手に飲み物、左手に串焼きを数本持ちハムハム……はむはむ。
『おらおらどうした?いつも通り逃げてみろよー』
ふむ、借金取り兼人身売買組織らしい。
グヘグヘ言ってるけどナイフ持ってるだけで気が大きくなってるな。
『さぁ観念しな。お前を売れば父親の借金の1割は回収出来るだろ?グヘヘ』
追われている少女は10~13歳辺りだな。
え?それ売って1割なの?
回収率ひっくいなー中抜きされまくりですか?
「なぁ?何でそんなに回収率低いんだ?」
俺は堪らず声をかけてしまった。
『『!?誰だ!』』
男達2人はナイフ片手に俺の方を向くが……隙だらけなんだけど?
まだあの森のゴブリンの方が強いぞ?
「まぁ、俺の事は気にせずに。
そちらのお嬢さんは顔も綺麗だし年齢的にも少女好きの変態には人気出そうだけど
そんなに父親の借金は多いのか?」
おい!何でそんなにプルプルしてんだよ?
素人か!? 覚悟決めて無いのかコイツら。
「あん? コイツの親父の借金は金貨10枚で雑用奴隷に落としたら金貨1枚で売れるだろうが!?」
おーいーなんだよ。
異世界クリーンじゃないか……
「あ、そうなん?てっきり商館ならぬ男の欲の娼館行きかと思ったわ。
それか初物好きの貴族様行きとか」
少女よ……俺の話を聞いてて途中で白目向いて気絶とは中々面白いな。
「なっ!?何てひでぇ事考えやがる!? あ、悪魔か?アンタ!」
いや人攫いしようとしてるお前達に言われたくないんだけど。
「いや、人身売買組織に言われたくないんだけど?
それに外の盗賊とかこんな少女居たらとっくに散ってるぞ?」
並んでる人達にそう言う話をしてる奴居たし、何か装備が凄い人達が『くっ、狙ってた娘がゴブリンの餌食に』とか言ってたし。
ゴブリン意外と面食いなのか?
その中に居た少女……少年? の肩に手を置いて『『お前も気をつけろ!』』って言って
『僕は男だぁぁ!!』って騒いでたしな。
まぁ人間から見ても筋骨隆々のハードなおっさんor男の娘の究極の2択なら男の娘俺も選ぶもんな。
「おい!俺達を盗賊と一緒にすんじゃねぇ!
俺はコイツの親父が嫌いだけどこの娘は好きなんだよ!」
「まじっすか!?兄貴?」
自爆したな?
「へー好きな女攫って手篭めでしたか……何と非道な」
むっつりスケベですな?
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