第9話 人生で初めて鉢植えを貰ったときの話

多分、これまでの人生で一度しかないことだと思います。


あれはまだ青々しい二十歳くらいのころの話です。

初めて一人暮らしで、親友のお母様が鉢植えを下さいました。


初めて感じた、どっしりとした命の重み。

うれしいとかありがたいとかより先に、

「え、私、育てられるのか?」

と不安が先だったように思います。


けれど、当時の私はまだ知らないのです。


自分が「植物を枯らす人」ということを……。



実は実家には大きな観葉植物がありました。

その前の家では……母がたくさん……まぁ、これは追々。


なので、「植物を枯らす人」という自覚は0でした。



どうしたらいいのかわからない私は、とりあえず、水を定期的にあげました。

日を浴びせました。ネットのない時代だったのでね。

いい具合に放置していた……と自分では思っていました。



そんなこんなでどのくらい経ったか。

あるとき、水をあげたら悲劇が。


「ぴゅっ」


聞きなれない音がしました。


見れば鉢から水が飛び出しているではありませんか!


「なんじゃこりゃ~!」


四方八方に水が飛び跳ねています。慌てても水は止まりません。


仕方なくビニール袋で包みました。



何度も思い返すのですが、あれは根腐れだったんでしょうか……。

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