第53話 国葬反対というけれど

 安倍元首相の国葬を行うことについて反対だと叫んでいる人たちがいるようだ。

 何をするにしたって、国民が全員賛成するなんてことはあり得ない。もし全員が賛成するような国があるならばそれは異常な国だ。権力者の弾圧の下にしかそのようなことは起こらないだろう。もっともこの場合だって表面に出てこないだけで内心、本音はそうじゃないに決まっている。うっかり本音を言うと酷い目にあうから言わないだけだ。そういう点ではまだ日本はましな国なんだろう。

 権力者は自分に都合のいいことをするに決まっている。

 今国葬に反対している勢力も、自分たちが権力を握った時には自分たちに都合のいいことをするに決まっている。

 権力とはそういうものだ。正義だとか、真実だとか言うレベルの問題ではない。

 人間というのは、社会というのはそういうものなのだ。

 賛成、反対、お互い無邪気に叫んでいられるのは、この国はまだましなんだということだから喜べばいい。それだけのことだ。それ以上でもそれ以下でもない。

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