第31話 殺してはいけない 十重禁戒

 仏教の十重禁戒じゅうじゅうきんかい、重要な十の戒律。

 そのうちの一つに不殺生戒ふせっしょうかいあるいは殺戒せっかいがある。

 文字通り殺してはいけないということだ。

 ただはっきりさせとかなければいけないことがある。それは人間は他の生命を犠牲にしなければ生きられないということだ。これは絶対の事実だ。

 ベジタリアンとか言っても植物の生命を体内に取り入れている。植物だって生命だ。植物は人間に食べられるために存在するなどというなら傲慢としか言いようがない。

 作物を育てるために耕地を作ることだって、もとからあった生態系をぶち壊して人間の都合のいいものだけを作ろうというんだから不自然極まりない。元々の生物たちを殺戮して自分が食べたいもの、金が儲かるものを作ってるんだから邪悪である。

 まず事実として人間は他の生命の犠牲の上にしか生きられないということをしっかり踏まえなければならない。

 だから不殺生とは自分が生きるために最低限必要な生命だけを犠牲にするに止めるということだ。

 本来食料というのはそれで十分なはずだ。人間は食うために生きているのではない。生きるために食うのだ。だから生命が維持できる分だけ食べれれば十分なのだ。

 グルメだの三ツ星だの食リポだのなんだのすべて鬼畜の振舞いである。

 人間の生きる目的は大宇宙の真実・真理を実現・実証し一体となること以外にない。そのために生きる。生きれるだけで食い物は十分だ。

 ただこんなことを言うと経済は縮小してしまう。だから聞く耳持つ人間はいないだろう。万事金の世の中である。

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