第15話 奴隷を取り巻く環境の考察
※奴隷というと個々のイメージに差異があり、かつセンシティブなワードなので、可能な限りマイルドにすべく書きましたが、フィクションなんだし気軽に読みたいという方は、飛ばしていただいても大きな支障はないと思います。
少年が奴隷を買う。となったら、がっつり攻略に活用するよね。と、ふわっとした理解で問題ありません。
◇
案の定、
どうせそうなるだろうと、ほぼ打ち合わせらしい打ち合わせはしなかったので、まあ、そうなる。
というわけで、おねーさん以下、女性陣三名は、各々ショッピング感覚で、人間を買いに行った。
どうせあいつらのことだから、労働力としての機能性とかは重視したりはしないのだろう。
かわいいは正義と言わんばかりのメンツを揃えるに違いない。
「……(まあ、本人たちは保護してるつもりなんだろう)」
奴隷などと呼称されると、日本人の感覚からは、倫理に
実際身分としては、この世界にあっても最低の部類なのは確かだ。
だが、実態としては、奴隷商に買われた時点で、金銭が支払われており、商品価値が保たれている限り、一定程度の衣食住も保障される。
貧困で生きる道が閉ざされているコミュニティにとっては、歓迎こそできないが、現実的な生きる術であり、買う側としても一定の信用が約束された労働力である。
「……(ぶっちゃけ、その日暮らしの日雇い派遣より生活環境は遥かにマシなんだよなぁ)」
倫理的にNGで仕事を選べないという側面はあるが、買う側としても、わざわざ適性のないものに非効率な仕事をあてがったりはしないので、自然と学ぶ、身に付く、日々の暮らしが(相対的に)豊かになる。
とはいえ、
(相対的に)安価で高品質な
かといって現役世代からすると、制服着てるだけのガキんちょを、超絶ありがたがる日本の風潮はさっぱり理解できないのだが。
ちなみにこの
なので一般的には、愛玩奴隷を好事家に販売することをメイン事業として展開する奴隷商は、限りなく少ない。
よほど太い客を幾人も抱えてない限り、その好事家が現役を引退した時点で商売として回らないからだ。
さらに、見逃されている、もみ消されている、だけで、どんな契約の奴隷であってもオイタをするのは、犯罪行為なのは上述の通りである。
言い逃れできない形で露見すれば、その火の粉はたちまち自分たちにも飛んでくる。
つまり、よほどうまく営業をこなせないと、確定でバブルが崩壊する上、リスクを伴うのが、愛玩奴隷の直接取引ということになる。
ちなみに、エロ産業は、厳格な契約によって、お咎めを回避している。そして大抵の場合、娼婦として契約した時点で奴隷の身分から解放されており、奉公が終わるか身請けされれば自由が約束される仕組みになっている。
そもそもエロ産業は需要が無くならない反面、競争も激しい。奴隷商が、欲を出して独自にエロ産業に進出したとして、生き残れる確率はわりと絶望的な数字だ。
結局のところ餅は餅屋というごく当たり前の結論なのだろう。
なら、娼館なりの安定して買ってくれる先に、商品を卸すことに専念する方が、安定して儲けつつ、労働力の分配で社会的影響力を堅持する。という至極真っ当な結論に行きつく。
なにより、愛玩奴隷の品質管理は、手間に見合うものではない。長く置いておけば劣化が進み、価格も下がる。そもそも目利きも難しい。
貧困で痩せこけた子供が、どう育ち、客を手玉にとれるかなんて、買い付けの時点で分かるのは稀だ。
「……(結果、狙って買い付けようとしたら粗利が大きくブレる)」
それに、需要が高くなれば仕入れ値も上がる。鮮度が明暗を分ける以上、安い時に買って高く売るような柔軟性も無い。
「……(うまくいかないもんだ)」
かといって労働力として値付けして買い取ったものを、情婦として売りつけたら言い逃れできない犯罪である。
結局、労働力として買い付けて、娼館に面倒な手続きを負担させるのが、賢いやり方になっている。
もちろん、奴隷に身をやつす方も、ある程度は分かって取引している。おそらくそのあたりの交渉を仲介する仲買みたいのが、各地域ごとにいることだろう。
「……(ファンタジーもなかなかに世知辛いことだ)」
ただ、表面上、身分制度の悪い面が色濃く出てしまうので、多くの国で奴隷は奨励されてはいない。という、なんとも微妙な立ち位置にある。
この国では、非合法ではないが、大都市で大っぴらに商売できるほどの理解は得られていない。
特に人族(と分類される文明人)以外の奴隷は、過去の因縁から近年まで禁じられており、世間的には合法化したことが知られていない。
と、少年は、娼館で聞いた話を思い出していた。
「……(どうせこうなると情報を仕入れといて正解か)」
【みあんな亭】
姫を陥落させた
あそこで一晩で得た知識が、今のところ最も有益だ。
そういう意味では、エロは侮れない。
「エロと軍事を抑えておけば、益は多い。か」
「……なにか?」
「いや、気にしないでくれ」
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