13話-叫び
-15時- -0:20度- -130率-
「こんにちは、ゼンタさん、ルレさん」
「こんにちは、ガブエイラさん」
「依頼内容の方ですが、この方を捕まえる手伝いをしてもらいます」
目の前に出されたのは指名手配所。名前はランドットか。
「電脳空間の一部に隔離しているので後は捕まえるだけなのですが、ランドットがいつ抜け出すか分かりません。隔離しただけなので武器などはまだまだ健在です」
「だから抜け出す前に捕まえると」
「その通りです」
向こうに攻撃する手段がある、と。
「それでは私とルレに危険が及ぶのでは?」
「そこはご安心を。電脳空間でどれだけ傷つこうが死のうが、無傷でこちらの世界に戻されます」
「...」
無傷で戻される...
しかし体が元通りになるだけで経験は引き継がれないとは言っていない。
ルレちゃん怖い目に合わせるわけにはいかないが、
「ルレ、どうする?向こうでは何が起こるか分からないから私だけで行こうか?」
「大丈夫!私はゼタちゃんとずっと一緒にいるもん!」
「――――」
アアアアアアアアアアアアアアアアアアアア
落ち着け、落ち着け、よし。
「ではガブエイラさん、微力ながら手伝わせて頂きます」
「えぇ、頼りにしてますよ。仲が良くて微笑ましいですね」
「...」
真顔で言われた。
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「着きました」
物々しい雰囲気の建物に連れてこられた。
「ここで何するんですか?」
「ここから隔離された電脳世界に繋ぎ、移動します。さ、どうぞ中へ」
中に入る。
かなり個性的な照明に壁の一部に広げられた図面、棚に均等に置かれた機械。
それ以外に何もない。
「...、すぐに電接君を出しますね」
「電接君?」
「電脳世界へ行くための機械です」
そう言ってガブエイラが壁に手を触れると、宿で見たものと似た機械が出てきた。
「この機械の上に立って下さい。決して機械の外に出ないように」
言われるがままに機械の上に立ち、ルレちゃんの手を握る。
「人身電脳魂魔接続原子変換試作機3号起動」
「起動。クレール結界発生まで10」
ガブエイラが隣に立つ。
「それでは行きましょうか」
「クレール結界発生。電脳世界へ送ります」
視界が一瞬ぶれた。
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-15時- -001030波- -有-
うぅ...視界がぼやける。
「ゼンタさん、気をしっかり持って下さい。クレール結界で防げる攻撃には限度があります」
攻撃...攻撃...攻撃?頭が回らない。
「念の為結界の強度を上げたのが間違いでしたね。ルレさん、ゼンタさんの意識をハッキリさせて下さい」
「は、はい!」
ルレちゃん...
「ゼタちゃんごめーん!!」
「オ”ゥ!」
...?頭部に衝撃、敵の攻撃だろうか。
「ルレェ~...」
「あぁー!強く叩きすぎちゃったかな?」
「敵の こう 撃が」
「ゼタちゃんごめん!大丈夫?私の事ちゃんと見えてる?」
ルレちゃんが3人から2人に減っていく。あぁ、減らないで...
「ゼタちゃーん!」
「ゼンタさん、そろそろ仕事して下さい」
仕事...仕事、依頼!依頼を引き受けていたんだった。
「安心 して 下さい。すぐに 終わらせ ます」
フゥー、よし。
『殺す 瑠璃以外は全て殺す』
「ルレ、ごめん。もう大丈夫。全部片づけようか」
「え、うん!任せて!それより頭痛くない?」
「大丈夫。適当に突っ込むから援護お願い」
見渡す限りの敵。敵。敵。
全部ルレに害をなそうとするゴミ共だから考えることもないな。
「ハァッッ!」
今までにないほどの力が私の底から湧き出てくる。殲滅するのも時間の問題だな。
「ゼンタさん!」
頭上からの爆音。ガブエイラが助けてくれたのか。
「注意力が散漫になっていますよ。ゼンタさん」
「助けてくれてありがとうございます。目の前の敵しか見えていませんでした」
「...私がランドットの場所まで送りますから、生きた状態で捕えてきてください」
「分かりました」
敵の場所を特定しているし私を送るとまで言い出した。
この人何者?
「色んな魔法が使えるんですね」
「えぇ、まぁ。じゃあ我慢してくださいね」
「え?」
「健闘を祈ります」
「ウ"ッ」
お腹を全力で蹴られた。人を蹴り飛ばして敵の元に送るつもりだったのか。
景色が私の後ろに流れていく。ランドットはどこに。
「――!!」
ん?声が聞こえる。
「――!」
私が声の主の元に落ちていく。
「あいつの性能おかしいだろぉぉぉ!!!!!」
あの人がランドットか。本当にランドットの所まで送ってくれたな。
着地どうしよう。
「おっ」
何かに抱き抱えられるように地面に降りる。
ルレちゃんの魔法か。ガブエイラがどこからか見ているかのような正確さだな。
私はランドットの前に降り立った。
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