12話-報酬
-13時-
結構雑な投げ方されたけどやるしかない。
「ハァア!!!」
まずは片目。もう片方の目は...確かあっち。
「フッッ――」
全力疾走。よし、これがもう片方の目。
『殺す 瑠璃以外は全て殺す』
「これで」
おしまい。
「両目壊しました!」
「ありがとうございます」
その声と同時にガブエイラの姿が消えた。
もしかして凄く速く動いたとか...
ピクリとも動かないホロスムの中から誰かを抱えながらガブエイラが出てくる。
まさしく瞬間移動だな。
「ありがとうございます。旅の人」
「いえ、この機械を殺す気だったので」
「手伝って頂いた分のお礼はさせて下さい」
「では時計を1つ下さい」
「おや、時計を求めるとは...分かりました。すぐにご用意します」
よし、お金は浮いたし時計も手に入る。
「では下まで送ります。掴まってください」
「ありがとうございます」
「あの辺りから来ましたよね」
ガブエイラが指をさしたのは丁度私が剣を受け止めた場所。
「はい。お願いします」
「着きました」
あれ、さっきまでホロスムの上にいたのにルレちゃんが目の前にいる。
「では時計を取って参りますのでそこでお待ちください」
そう言って消えた。
あの人を敵に回すのは辞めておこう。
「ゼタちゃん大丈夫だった!?」
ハッ、天使の声。
「ルレ」
「ゼタちゃん怪我とかしてない?火傷とかしてない?」
「大丈夫。ルレのおかげで敵を倒すことが出来た」
「良かった!ゼタちゃん凄かったよ!ピカー!シュパパパドーン!って感じで!」
...どんな感じなんだろう。
「ルレのおかげだよ。どんな魔法を使ったの?」
「えーっとねー...」
パラパラパラ...
「これ!このページに書いてある魔法!」
うわっ、ルレちゃんが読んでる本何が書いてあるか全くわからない。
「ルレ、この本の内容分かるの?」
「実はまだ分からないんだ...」
「えっ」
「魔法の事は変な人に教えてもらったの」
「へ、変な人?」
この本の内容が分かる変な人、何者だろう。
「うん。ゼタちゃんにこの2つの魔法かけると良いよってやり方まで教えてくれたの」
2つの魔法。
「1つ目が溶岩が入った物にこれを書いて投げつけるってやつ」
『溶』
この複雑な記号を書いて投げるだけ。結構噛み砕いて教えたんだな。
溶岩を入れる容器を私達は持ってないし変な人がくれたのだろう。
「2つ目が周りの光でゼタちゃんを電磁波?にしてなんとかーかんとかー?」
なんとかかんとかかぁ。
「あとは変な人が足場作るの手伝ってくれたんだ!ゼタちゃんの通り道を作るために足場にクレなんとか鉱とショウなんとか鉱使ってなんやかんや...する!って言ってた!」
凄い、色々言ってるけど何にも分かんない。
「それで青色と赤色の光がピカー!」
光ったのは分かった。
「その変な人には今度お礼しないとね」
「うん!」
ルレちゃんの頭なでなで。ルレちゃん成分を最近補充してなかったからなぁ。
なでなでなで。
「お待たせしました」
急に背後から声がした。
「時計を持ってきましたよ」
「あ、ありがとうございます」
手渡されたのは白色のただの棒。私の手の大きさと同じくらいの長さかな。
「これどう使うんですか?」
「捻って適当に放り投げてみて下さい」
目元の高さに来るように投げる。
すると徐々に数字と文字が浮かび上がる。
「なるほど?」
「時計の見方お教えしますね」
「お願いします」
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-14時- -0:19度- -122率-
「ではゼンタさんとルレさん、明日15時に冒険者ギルドで会いましょう」
「「はい(!)」」
ガブエイラ。サイバーと呼ばれているイーソドで一番偉い人。
そしてガブエイラの話が本当ならこの都市を創った人。
「ルレ、今日は帰ろうか」
「うん!」
詠唱を記録する腕輪を報酬に用意するなんてどんな依頼だろうか。
身体に危険が及ぶことはないと言っていたけど。
「ねぇルレ」
「んー?」
「ルレのその本どんなことが書いてあるか教えてよ。ルレが分かる範囲で」
「良いよー!」
とりあえず白いヤツが寄越した魔法の本だし、変なことが書かれてそうならすぐに使うのを止めないとな。
「マルトで使ったのはこの最初の方に書かれてる魔法なんだけど、これが初心者用」
私でも内容が分かるように書かれていたページだな。
そして次のページから...
「それで次のページから魔法の難しさと種類に分けられてて、詠唱を用いるやつとか溶岩とか岩とかを使うものがあるんだよ」
あー、光とか溶岩は魔法の触媒になっていたのか。
そして複雑な記号を書くものも存在するのかな。
「結構読み込んでるんだね」
「うん。私が出来るのは強化とか回復とかばかりだから、色々使えるようになったらゼタちゃん楽になるでしょ?それにゼタちゃんに傷ついてほしくないんもん」
自分の出来る事を少しずつ増やしていく、堅実な手だな。
ルレちゃんがこんなに私の事を考えてくれるなんて...
私にこんな素晴らしい
「ルレ、ありがとう」
私は微笑んだ。
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