11話-ガブエイラ
-12時-
商業エリア。
そこら辺の人が言うには全ての売り買いがここで行われているんだっけ。
「ルレ、時計を買おう。時計はすごく便利だから」
「え、時計?わ、分かった」
「エリアの入口に地図があったから迷うことはないはず。ルレ、行こう」
ルレちゃんと手を繋ぎ人の波を掻き分ける。
「ルレ、大丈夫?私早く歩きすぎてる?」
「大丈夫だよ!」
良かった。興奮しすぎて早歩きになってるかと思ったけど、ちゃんとルレちゃんに合わせて歩けていた。
他にも完全食とか小型スクロールとかプラ何とかに他にも見てみたいものが沢山あるし、これはもう少し長く滞在したほうが良いかもしれない。
「失礼、ここから先は立ち入り禁止です」
突然大柄な人に道を遮られた。もう少しで時計が売っている店なのに。
「どうして立ち入り禁止なんですか?」
「もう直、対ガブエイラ抹殺機甲兵器 ホロスム が落ちてくるからだ」
「対...対...??」
「...ホロスムって言う凄いでかい機械が落ちてくるからだ」
なるほど、凄く分かりやすい。
「そろそろ来るぞ」
「いつ落ちてくるか分かる物なんですか」
「あぁ、仕組みは教えられんがな」
大柄な人がそう言うと凄まじい轟音が鳴り響き熱風が体を吹き抜ける。
「こちら"ライン縛り"。はい。はい。了解です、サイバー」
うわ、急に1人で喋り始めた。
「皆さん!ホロスムがまだ活性化しています!商業エリアから離れて下さい!」
避難の指示っぽいな。
「ほら、そこの女2人も逃げろ」
「はい。それでは。」
ルレちゃんが危ないしここは言うとおりに避難しよう。
「よし、じゃあルレは私の前を歩いて安全な所まで行こう」
「はーい!」
これで何が来てもルレちゃんを守りながら避難できるはずだったのだが、ルレちゃんに敵意を持ったものが1人現れた。
避難している私達の背中から感じる敵意。攻撃は上からか。
「そこの女共!伏せろ!」
先ほどの大柄の人の声。
突然生じた敵意に上からの攻撃、ルレちゃん1人を狙ったものではない。
ルレちゃんが恨みを買うとは思えない。
つまりホロスムの無差別攻撃か。凄いデカいって言ってたしな。
『殺す 瑠璃以外は全て殺す』
「ルレ、伏せて!」
まずは攻撃を捌いてからだな。
「スゥー...ハー...」
天井を破壊しながら刃が降り注ぐ。
「大丈夫」
大丈夫だ。私なら何とかできる。
大柄の人が私の元まで来て、大盾を構えて魔法を使う。
「伏せろって言っただろ!砕けぬオブシダン!」
大盾がさらに大きくなる。途端に来る衝撃。攻撃が来たか。
「グ..ゥゥゥ...」
大柄の人が苦しそうに大盾を支えている。
「微力ながら支えますよ」
「助かる」
私に出来るのはこれくらいだな。
しかし攻撃が重たい。このままではルレちゃんを守れない。
「ルレ、私の力を強くする魔法使える?」
「使えるけどもっといい魔法があるよ!」
「じゃあそれをお願い!耐えられそうにない!」
『星の輝きを刹那に 星の輝きは私の力 刹那は今 隼となる』
『星の輝きを刹那に 星の輝きは私の力 刹那は今 風となる』
「...れで...?」
ルレちゃんが誰かと喋っているけど聞き取れない。何を話しているんだろう。
「ゼタちゃん!今から魔法を使うけど動き続けて!」
「分かった!」
「あとね!足場は何とかするから周りが暗くなったら全力で武器を斬って!」
「分かった!」
動き続けるのか。
「大柄の人、敵の攻撃を何とかしてきます」
「おう、任せたぞ」
任された。
「ゼタちゃん!行くよ!」
その掛け声とともに背中に何かが当たり、割れた。
ガラスでも当たったのかな。
「右にゆっくり動いて!」
言われた通り右にゆっくり動く。なんだか足元がゆっくり沈んでいく感じがする。
店の明かりが消え、周りが暗くなる。
よし、行くぞ。武器を粉々になるまで止まりはしない。
「斬る」
店の壁を足場にし、上空へ駆け上がる。
視界に入るは2本の剣。さらに剣の周りに刃がついており、盾を削っているように見受けられる。
「はっ!」
剣は容易く切断され、切断された跡は溶けている。
ルレちゃんは毎回凄い魔法を使うな。
突如私の目の前に壁が創り出される。なるほど足場か。
身を翻し、剣に狙いを定める。
「ハアアアアアアアアア!!!!」
欲しいと思った場所に足場が現れる。流石ルレちゃんだ。
「ホロスム如きが何するものか!」
剣はあっけなく柄まで斬られ、武器として機能しなくなった。
柔な剣だな。
「ふぅ...」
周りが明るくなる。疲れた。あとはホロスムを斬って終わりにしよう。
「ホロスムの手で休憩している暇はありませんよ」
「誰」
声のする方へ向く。
「こんにちは。私はガブエイラです」
この人がガブエイラ。人...人?この姿はどう見ても
「先に言っておきますが天使ではないですよ」
「あ、はい」
本で見た天使にそっくりなんだけどなぁ。
「失礼」
ガブエイラに抱き抱えられる。
「敵の砲撃が激しいものでね。処理しなければならないんですよ」
確かに私達を狙って攻撃が来ている。が、ガブエイラがほとんど相殺している。
「凄い。私を抱えながら戦っている」
「楽にホロスムを破壊したいのでちょっと手伝って頂けませんか」
「分かりました」
「あそこに鈍く光っているものが2つあるでしょう?あれがホロスムの目です。貴方にはあれを壊してもらいます」
「分かりました」
「それではお願いしますね。攻撃は全て受け止めるので」
その声と同時に
「オ”ウ”ッ――」
私はホロスムの目に向かってぶん投げられた。
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