6話-魔法の力
ヤツの首を切り落とす。それだけを考えろ。
ヤツが気づく前に首は目前に迫る。
「死ね」
ガンティスの首はいとも容易く切れた。
「ふぅ」
凄く柔らかかった。首が弱点なのか。
『星の息吹を刹那に 星の呼吸は私が止める』
ルレちゃんのおかげで着地は安全にすんだ。
「ルレー!魔法の支援ありがとうー!」
「ゼタちゃーん!」
天使が私に抱き着いてくれる。この抱き着かれるときの衝撃が心地いい。
「ルレ、助かったよ」
「うん!どういたしまして!ゼタちゃん凄くかっこよかったよ!赤色と黄色の光が綺麗だった!」
「私そんな光ってたんだ」
「うん!すっごいピカピカだった!」
試験官さんの足音だ
「お疲れ様です。まさかガンティスが倒されるなんて思っていませんでしたよ...」
「私たちは強いから」
「えぇ、おっしゃる通りでしたね。でも試験はあと2つ残っています。しっかりと受けていただきますよ」
「はい。次はなんでしょうか」
「次は5等級冒険者8人の相手です。殺傷能力のある物はすべて禁止です。武器はこちらで合う物を用意しますのでご安心ください」
「分かりました。では片手で振れる剣を1つ貸してください」
「はい。すぐにご用意しますね」
5等級冒険者。1~10まである等級の真ん中。それを8人も相手にするのか。
結構厳しい試験になりそうだな。
「ルレ、疲れてない?大丈夫?」
「うん!ゼタちゃんこそ大丈夫?火傷してるみたいだから回復するよ!」
「ありがとう」
『草木の灯を刹那に さようなら』
周囲から光が集まり火傷が消えていく。
「凄い。これが回復魔法?」
「うん!私はゼタちゃんみたいには戦えないけど、こういう事は任せてね!」
「頼もしいね、ルレは」
あぁ、天使が屈託のない笑顔を浮かべている。この笑顔が本当の回復魔法なのではないだろうか。
「ねぇゼタちゃん。使って見たい魔法があるんだけど」
「どんな魔法?」
「この障壁を張る魔法。沢山の人を相手にするならこれで分けることは出来ないかな?」
ルレちゃんが魔法が書いてあるページを見せてくれる。
先ほどの凄い情報量が書いてあるページだ。
「ルレ、これ難しそうだけど使えそうなの?」
「うん。まだ一度も試してないけどこの町に来るまでに何回も読んだんだ!試験で使えるかなって」
え?いつの間に読んだの?頑張って読んでるところ見たかったな。私の天使がこう言ってるし試してみようかな。
「よし、やってみよう。私に出来ることは?」
「岩とか石が多い場所まで移動出来る?」
「簡単だよ。ルレちゃん、さっきの速く移動出来る魔法使って移動しよう」
「うん!ありがとう!ゼタちゃん!」
「ふふ、ルレの頼みなら何でもできるよ」
よし、次はどう動けばいいか纏まった。
「お待たせしました」
試験官さんが来たみたいだ。
「こちら片手剣です。大きさと重さに問題はございますか?」
「大丈夫です」
凄い、私が使ってる剣と全く同じ大きさだ。重さはやっぱり木だから完璧に同じとはいかないけど近いな。どうやって用意したんだろう。
「剣については秘密です」
「そう、ですか」
秘密か。そっか。
「では準備が出来たらこちらに立って両手を振ってください。試験を開始します」
「はい」
呼吸を整えて...。よし、いつでも大丈夫。ルレちゃんはどうかな。
「ルレ、大丈夫そう?」
「うん!ゼタちゃんが付いてるもん!」
指定された場所に立って両手を振る。
「はーい!試験開始です!冒険者がぞろぞろ出てきますので倒してくださいーい!」
ぞろぞろ ぞろぞろ
本当にぞろぞろ出てきた。遠くから走ってきたり地面から出てきたり凄い登場の仕方だな。
「うへ~何あの人たち...」
ルレちゃんが引いてるのかビックリしてるのか分からない反応してる。
「ルレ!この人たち登場の仕方はとんでもないけど凄く速い!」
「あっ!魔法魔法っと」
『星の輝きを刹那に 星の輝きは私の力 刹那は今 隼となる』
『星の輝きを刹那に 星の輝きは私の力 刹那は今 風となる』
魔法を詠唱している間に囲まれた。2つの魔法を詠唱する暇しか無いなんて。
ルレと私で背中を預け警戒をする。
ルレに向いている敵意だけハッキリと分かる。ルレの方にいる4人。
武器は短剣が2人と槍が2人。
私の方にいる4人は剣が2人と弓が2人。こっちはルレの方に敵意が向いていない。
私を狙っているのだろう。
「ルレ、私の背中にしがみついて」
「え?うん!え?分かった!」
あぁーーーーー!!!!!!天使が私の背中に!!!!!
今なら何でもできる!
「ルレ、しっかり掴まってて」
「うん!」
「スゥー...フッ――――」
大きな岩がある場所まで全力で突撃する。
地面を蹴った瞬間になる轟音。ガンティスの時より速くなってる。
「ウ”ッ」
冒険者から苦しそうな声が漏れる。
岩を背に立ちはだかる剣を持った冒険者にぶつかったまま岩まで連れてきてしまった。
すると突然、試験官の方から大きな声が聞こえる。
「中止です!中止!ルレさんその人に回復魔法!!!」
「はい!」
「回復魔法を使える方を待機させているので連れてきます!」
私は何が起きたのか理解出来なかった。
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