5話-試験
うわ、1ページめくっただけで目を背けたくなるような情報量が目に飛び込んできた。何か図のようなものもあるけど今は読むのをやめておこう。疲れる。
「ゼタちゃん、地図に描いてある広場ここじゃない?」
「そうだね」
試験官さんらしき人と話をする。
「こんにちは」
「こんにちは。試験を受けに来た方ですか?」
「はい。クーノ・ゼンタとヒットンド・ルレです」
「はい、では試験の説明をしますね。貴方達は4の鐘に満たないので試験を難しくしています」
なんだろう、開拓地の魔物を倒すとかかな。
「試験は全部で3つです。1つめはガンティスの再現体と戦っていただきます」
「ガンティスと再現体について教えてもらっても大丈夫ですか?」
「ええ、いいですよ。ガンティスは4つで長い首、顔に大きな瞳がある魔物です。小規模の炎を発生させる魔法と石を溶かす息を吐くことが出来ます」
熱そうだな。
「再現体というのはゲノルアとイーソドとマルトの共同で作ったゴーレムですね。ガンティスに詳しい方の指導の元本物に近い動きをするようになってますよ」
ゲノルア、確か溶岩に囲まれている町だっけ。
イーソドは凄い町としか聞いてないな。
「どうやってゴーレムを動かしているんですか?」
「そこはイーソドの管轄でして教えることは出来ません」
「ありがとうございます。私たちは準備出来ていますのですぐに始めても大丈夫です」
「はい。ではガンティスを呼んできますね」
ガンティス、どんな魔物なのだろう。
「ルレ、自分の安全を優先してね」
「うん!ゼタちゃんが負けるはずないもんね!でもゼタちゃんを置いていけないよ!」
「ふふ、ありがとう。ルレがいれば安心できるよ」
遠くから試験官さんらしき声が聞こえる。
「そろそろガンティスが来ますよー!」
見えてきた。私が丸呑みされそうなくらい大きな魔物だ。予想より大きいな。
「試験開始です!頑張ってください!」
試験開始、まずは軽い一撃を入れてみるか。
「ルレ、上から2番目と下から3番目の魔法使って」
「うん!」
『星の輝きを刹那に 星の輝きは私の力 刹那は今 隼となる』
聞いたこともない詠唱だ。なんて言ってるのだろう。
『星の輝きを刹那に 星の輝きは私の力 刹那は今 風となる』
よし、これで私は速くなったはず。私も剣を出すか。
視界が赤くなり、口が勝手に動く。
『殺す 瑠璃以外は全て殺す』
赤い粒が集まり剣が現れた。自分で何をしているか分からないけど、剣を使いたくなったら自然と出来るから便利だな。剣が出るまで視界が赤くなるのは今後慣れなさそうだけど。
「よし、頑張ろう」
剣が臙脂色に輝く。全力で近づいて全力で離れる、魔法と息がどこまで届くか分からないしこれが一番良いだろう。
「ハッ――」
一瞬でガンティスに近づく。凄い、これが強化魔法の力。
まずは前足に一撃。
「ハァァ!」
硬い。浅い切り傷が出来た程度だろうか。
ポワアアアアアアア
うぅ...煩い。ガンティスの鳴き声?何かしてくるのかな。
とりあえず距離を取ろう。
「フッ――」
体が軽すぎて移動しすぎてしまうな。慣れないと。
「ゼタちゃーん!上!上見て!」
上、炎の球が見える。どっちが狙われているか分からないし注意を引かなくては。
大きな瞳が特徴って言ってたし目に一発大きいの入れてみるか。
よし、瞳目掛けて――全力で踏み込む!!
「ォゥラアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」
ブォン――
赤い軌跡は宙を切った。
「躱された!?」
結構動けるのか。大きいと言っても的は顔、元気なうちは簡単に躱されるか。
ポワアアアアアアアアアアアアアア!!!
こっちを見た!注意を引くことは出来た。すぐにでも魔法がこちらに飛んで来そうな気迫を感じる。
「ルレ!5番目の魔法頂戴!」
「分かった!」
『星の輝きを刹那に 星の輝きは私の力 刹那は今 岩となる』
よし、防御の魔法がかかったはず。あとは耐えて次の事を考えなければ。
ぐぅぅぅ...熱い。全身が火に包まれたみたいな熱さだ。
「ハァ...ハァ...」
『星の息吹を刹那に 星の呼吸は私が止める』
突如何かに抱き抱えられるように地面に降りる。
「ゼタちゃん大丈夫ー!?」
「大丈夫!ありがとう!ルレ!」
ルレちゃんが私を助けてくれたのか。なんていい子なのだろうか。
ガンティスがルレちゃんの方を向いた。ルレちゃんが女神という事に気づいてしまったのだろうか?
ガンティスが大きな口を開けて天を仰ぎ見る。
あいつ、ルレちゃんに敵意を向けた。間違いない。何故分かるのか分からないけどルレちゃんに何かする気だ。
炎の球は見えない、岩を溶かす息か!
ポワアアアアアアアアアアア!!!!
「ルレちゃんに手は出させない」
ルレちゃんに攻撃する前に必ず殺す。
「ハァァァァァアアアアア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”!!!!」
私は駆けた。
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