4話-マルト

-食前-


着いた。マルトの町。前に冒険者さんに聞いた通り町が光っている。

町の近くには大きな川があり、町の真ん中には大きな岩がある。

ようやく最初の街に着いた。疲れたな。


「ルレ、着いたよ。光の街マルト」

「うわーー!!!凄い!本当に光でいっぱいだ!」

「じゃあ宿探そうか」

「うん!」


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-食後-


無事宿も取れたし冒険者登録した後にゆっくり休もうかな。


「ルレ、冒険者登録したら観光しようか」

「うん!じゃあ行こ!」

「うん」


可愛いルレちゃんの為にもギルドの受付さんにマルトの町について聞いておこう。


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ここが冒険者ギルド。基本的に木材で作られているようだけど、表面がすべすべで温かい。照明には硝子の中に光る球が入っている。

凄い、別世界に迷い込んだみたい。


「ほわ~。ゼタちゃん、まるで別世界だね~」

「うん、物語に出てくるような内装だね」


ルレちゃんの手を取り受付まで行く。


「こんにちは、冒険者になりに来ました」


受付の人が色々話してくれる。すんなり終わると思ってたけどルレちゃんに問題があるらしい。


「2の鐘の方は冒険者にならないほうがよろしいかと...」

「大丈夫だよ!私、魔法も使えるしゼタちゃん強いから!」


そうだよね、2の鐘の人が来たら誰でもやめるように言うよね。

しょうがない。ここは嘘をついて交渉が出来る所まで持っていこう。

ルレちゃんの耳を塞いでと。


「ゼタちゃん?どうしたの?」


ルレちゃんが暴れたりする子じゃなくて良かった。


「受付さん。私達、開拓地の生まれで親を―」

「あー、冒険者にならなくても他にいい仕事を紹介することも出来ますよ」

「恐らく私たちに一番合う仕事が冒険者です。私達を試して貰えませんか?」

「うーん...話を通してきますので隣の酒場でお待ちください」


よし、とりあえず可能性はまだありそうだ。両耳を塞いでいた手をルレちゃんの頬に持っていく。

あ~ぷにぷにだ~。


「ルレ、何とかなりそうだから隣の酒場に行こう」

ふぇ?あはっは!え?分かった!


ルレちゃんが酒場の扉を開ける。うっ、酒の匂いがすごい...。

一緒に冒険する人を探す人に歌に耳を澄ましている人に騒いでいる人、開拓地が比較的近いから賑わっているな。ギルドの人がくるまではルレちゃんのほっぺでも触っていよう。ぷにぷに。


酒場の人がオススメする"明日への輝き"という飲み物を2人分頼む。

ゴクッ――ん?んん?なんか変な感じ。

体が軽いような感じがするしルレちゃんが二人いるような。


「ルレ、いつの間に2人になったの?」

「え?私2人になってないよ?」

「そっか。そんな事もあるよね」

「ゼタちゃん?」


頭が重いな。疲れが溜まっていたのだろうか。あー机がここにあって助かった。

頭を支えるのにぴったり。


「クーノさーん」


なんか天使以外の声が聞こえる。


「クーノさーん、試験の内容決まりましたよー」


試験?試験...試験ね試験、はいはい。そんな事より隣の小さい天使を見つめていたいんだけど。


「ゼタちゃーん、ギルドの人だよー」


ギルド...はっ!試験!そっか。


「失礼しました。試験ですね」

「はい。今から町はずれの広場まで来て下さいね。はい、これ地図です」

「ありがとうございます」


何とかなった。試験に行かないと。


「ゼタちゃんふらふらだけど大丈夫?私達、これからギルドの試験を受けることになったんでしょ?」

「大丈夫。歩きながらお互いに何ができるか確認しよう」

「うん。駄目だと思ったら言ってね?私がギルドの人に言うから」

「ふふ、無理はしないから大丈夫」


あぁ、女神が心配してくれている。心配そうな顔してるなぁ。


飲み物代を払って外に出る


「それじゃあルレ、希望の魔法で出来ることは何?」

「白い人が言うには...」


鞄から本を取り出してページをめくり始めた。


「これこれ。ここのページにある呪文なら使えるよ!えーっと強化魔法と回復魔法って書いてある!」

「攻撃する魔法は無いの?」

「うん。最初はこのページの魔法を使って慣れてねって言われたの。ゼタちゃんは魔法教えてもらった?」

「私は剣だけ。魔法もくれるって話だったけど剣しか貰わなかった」


強化魔法、何が強化出来るんだろう。


「ルレ、強化魔法は何が強化出来るの?」

「うーんと、体が軽くなったり刃が通らなくなったり、ゼタちゃんがすごくなる感じ?っぽいのは書かれてるよ」

「いいね。体が軽くなるのは便利そう。その本少し読ませてくれない?」

「いいよー!」


試験の内容は分からないけど使えそうな魔法ばかり載ってる。

でも全部冒険者さんに聞いたことがある効果ばかりだ。ほかのページには何が書かれているんだろう。


私はページをめくった。



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