6月27日

《晴天》


 シーウルフでいられないかもしれない。

 今朝届いた黒い封筒。ファントムからの手紙には、「リードエンゲージを誰とも結んでいないのであれば、シーウルフに非ず」と書かれていた。


 そもそもシーウルフを名乗るのは船の自由なのではと思い、調べてみると、名乗るのは自由だがリードエンゲージ有りきであることを思い知らされた。

 この船にしか居場所がない、とか。この人になら生命を捧げていい、とか。そういう強い思いに船長が応えていく証。その固い絆があるから、その船はオオカミと呼べるほどの勢いを手にする。


 なのに、今のジョンブリアンはどうだ。名ばかりの船長に、従う気が欠けらも無い船員たち。それに手負いの赤ん坊。オオカミとは程遠い。絆なんてちっともない。この状況でシーウルフだと名乗られても迷惑だろう。

 早く、誰かとエンゲージを結ばないと。こんな手紙、情けなくて見せられない。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る