6月26日
《曇り時々雨》
今日もまた、少年は海に飛び込んだ。彼は「海」がどんなものかよくわかっていないみたいで、水中で大きく目を見開いて水越しの太陽を見つめている。自分が沈んでいることに全く気付いていないみたいに。本当に小さな子供そっくりだ。
ぐったりした彼を引き上げるのは骨が折れるけれど、今日は魔術師のロジェが手伝ってくれた。ロジェが指を一振りすると、びちゃびちゃだったぼくと少年の身体を温かい風が包み込んで、あっという間に乾いた。彼は風属性の魔術が得意なのだと言う。船の上では特に役立つ力だ。
純粋に「すごい」と思った。形ばかりの船長であるぼくとは大違い。賞賛を口にすると彼は下唇を強く噛んで、ぷいっと顔を背けてしまった。耳が赤かったので調子が悪いのかと思い、リヒトの元へ行くことを勧めたが怒られてしまった。なぜ。
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