6月23日

《晴れ一時雨》


 うまくいかない。なにもかも。


 暴れる少年を押さえつけながら、自分も大声で叫んでしまいそうな衝動に駆られる。どうしたら彼は落ち着いてくれるんだろう。わからなくて、眠れなくて、イライラしてしまう。

 やっぱり、連れてきたのは間違いだったのかな。でも、放っておいたら死んでいた。自分とそう変わらない歳の、死に行く少年を放置してのうのうと生きるなんて、ぼくにはできなかった。善行なんかじゃなくて、ただ夢見が悪いのは嫌だと思って。


 こういうのが、みんなには透けて見えるんだろうな。ぼくの、卑しい我侭な素の姿が。


 昼、ようやく彼は眠った。そういえば、未だに名前も知らない。聞くタイミングがないからでもあるけれど、知ろうとしなかった。ずっと「可哀想な男の子」として見ているから。

 明日は、名前を聞けるといい。

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