6月14日
《晴れ 暑い》
いよいよ明日は他のシーウルフとの顔合わせだ。どれくらいの船が来るかはわからないけれど、なんとなく胸がざわざわする。足が地に着かない感じ。それをサンディに零すと「お前でも緊張するんだな」と感心された。失礼だと思う。
指定された島まではまだまだ距離があるのに、船は焦る様子なく穏やかに進んでいる。不思議に思い操舵手のミシェルに、このペースで間に合うのか尋ねた。もしかしたら行く気ないのかもと思って。彼は怠そうに傷んだ茶色い髪をがしがしと掻いた。いかにも「面倒です」って態度だけれども、彼はゆっくりと説明してくれた。
うちの操縦室には、舵輪の隣にアンティークゴールドの魔導具「ロウラ」が置かれている。ロウラに使われているエルツ「ヴィアベル」は海を観測し、海中にある海のエルツ「メア」の波動を読み取り記録する。そしてエルツ「ヴィアベル」が記録したエルツ「メア」の位置まで船を送ることかできるのだという。
つまり、ヴィアベルが覚えている場所にならワープができる。便利だが、使用頻度は高くないらしい。パロット船長は旅をするのが好きな人だから、ロウラを使うのは味気がなくて好まなかったみたい。
「そういうとこ、好きだったなぁ、おれは」ミシェルは褪せたロウラの縁をなぞりながら、小さく鼻を啜っていた。
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