6月11日

《雨 昼時が強かった》


 今日は停泊日だった。

 多くのシーウルフがそうであるように、ジョンブリアンにもお抱えの島がある。

 コルザとう。南に位置するこの島は、一年中暖かくて雨が多いのだという。あまりに雨が多く、観光地とも呼べないコルザ島だが、パロット船長はここに住む人たちのおおらかさをとても気に入り、定期的に訪れてはお店にお金を落とした。そうしているうちに彼らもジョンブリアンに心を開いて、黄色い旗を掲げるようになったらしい。


 パロット船長が亡くなったことは、この島にも伝わっていたようだ。黄色い旗の支柱には黒い布が巻かれていた。


 サンディに連れられて、島の長であるガイさんに会った。長と聞いていたから勝手に年配の方を想像していたけれど、日に焼けた肌が眩しい30代のお兄さんだった。「こんなに若いのか」これはぼくではなくガイさんの言葉だ。互いに同じことを思ったらしい。

 これからもコルザ島を大切にしたい旨を伝えると、「こちらとしてもありがたい限りだ」と頭を下げられてしまった。島の経済はジョンブリアンを中心に回っているようだ。今日は存分にお金を使っていこうと思ったけれど、そういえばぼくのせいで資金難だった。大人しくご飯を食べるだけにしておいた。

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