6月9日
《晴れ 暑い》
ロジェが甲板に転がっていた。暑さで溶けていたみたい。水を持ってくると、飲むんじゃなくて頭にかけていた。暑さが苦手なのだという。寒い国出身なんだって。
サンディと航海士のナハト、船医のリヒトも寒い国 ――北の大国ロードノード帝国の生まれだ、とロジェが教えてくれた。三人の特徴的な黒いつり目は、ロードノード出身の人に多いのだとか。
「知らなかったの?」と言われたけれど、海賊になる人達は生まれを捨てている人ばかりなんだから知る必要がないと思っていた。つつかれたら嫌なことってあるし。そう伝えるとロジェは淡い藤色の目を丸めて「なんか、意外」と呟いた。それから「結構向いてるのかもね」とも。なんのことか聞き返すが、彼は首を振るだけだった。
暑いなら部屋にいればいいのに。ぼくの言葉に今度は眉を下げて「ひとりになっちゃったから」と寂しそうに肩を竦めた。
それなら部屋割りを考え直そうとサンディに提案したが、「たぶんそういうことじゃない」と却下された。みんなもう少しわかりやすく話して欲しい。
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