6月8日
《晴れ 風強め》
朝食の席で会ったサンディが、コーヒー片手に新聞を読んでいた。ぼくの兄が記者を務めているデイリーカラー。兄の記事を読んでみたくて横から覗いていると、不思議そうな顔をしながらも咎めず、少し広げてくれた。
サンディは優しいのだと思う。仏頂面で何を考えているかわからないし、相変わらずぼくに聞かずに針路を決めてしまったり、船員に指示を出したりしているけれど。でも彼が率いてくれないと、ぼくの言葉では誰も動いてくれないのも事実で……そういうところまで考えて動いてくれているのだろう、たぶん。多くを語ってくれないから想像でしかないが、そうだといいな。
兄の記事は三面に掲載されていた。西の国の王族について取り上げている。もう何年も会っていないが、こうやって無事に好きな仕事をしているのを見られて安心した。ちょっと嬉しくて、サンディに兄が書いたことを告げると「兄弟がいるのか」と、滅多に動かない眉毛を上げて驚いていた。
ぼくには兄が三人いるが、ぼくを含めて全員が世界を飛び回っている。
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