JKとの晩御飯と菊花の話
帰ってきた日の夜。俺のアパートの使われていない一室で音花ちゃんとほむらちゃんと食事を取る。メニューは俺特製特大ビッグチーズバーガーとポテトだ。一個で七百キロカロリーあるのに二個食べた二人は若いなぁ。
そんな折、音花ちゃんがケチャップのついた指を舐りながら、俺に質問して来た。
「そういえば菊花賞ってサード以外に有力馬出るんですか?」
「アンタ…、そんなことも調べてないの?」
「鈴鹿さんが詳しく教えてくれるからいいかなって」
「それはそうだけど」
おい。自分で調べることは大事だゾイ!
まぁ、教えてあげるんですけどね。甘いね俺も。
「有力どころは栗毛殺しと目黒の秘蔵っ子かね」
「凄い異名ついてますけど…」
「栗毛殺し…。キャスターニュイドですよね? 調教再審査をした」
ほむらちゃんはよく調べているね。
「うん、キャスターニュイドは生い立ちのせいで栗毛を見ると、蹴るわ噛むわの大暴れでね。デビュー戦の時に真横が栗毛だったから、思いっきり体当たりして落馬誘発。騎手は騎乗停止に本馬は再審査したよ。
今はブリンカーをつけてそんなに暴れることはないけど、それでも前に栗毛の馬が来ると暴走するから逃げしかできないんだよねぇ」
「うげ…。誰が乗ってるんですか今…」
「館岡ダディー」
「ああ…」
癖のある逃げ馬大好きだからね、あの人。
「もう一頭の目黒の秘蔵っ子は誰なんです?」
「メグロロナウド。北海道の名門、目黒牧場の馬だね。バッチバチのステイヤー気質だから菊花目掛けて調教してるらしい、強敵だよ。
夏から体重増加で、筋肉も良いつき方してるみたい。海老原さんも今頃栗東で情報集めてるんじゃないかな?」
そう考えたらあの人クソ忙しいな。今度栄養ドリンクでも送っとくか。
「鈴鹿さん的には他の馬はどうなんです?」
「他の馬たちが出走表明してないから何とも言えないけど…。
恐らくだけど菊花賞は逃げにキャスターニュイド、先行にメグロロナウド、差し追いにサードがいるから他のクラシック馬が出てきてもきついだろうねぇ。
ノン、ノンバイプレイヤーは天皇賞かエリ女に出るらしいから出走しないし。ドゥスタリオンは距離が合わない。やっぱり三頭がメインになるんじゃないかな。サードは芝があまり得意じゃないからいい勝負になると思うよ」
得意な馬場でもああなりますけどね。ベルモントステークス…、うっ頭が…。
「芝で三勝しているのに苦手なんですか…」
「地力で押し切ってるだけだからね。サードの遠征映像を今度見せてあげるよ、脚の地面の掴み方が全然違うから」
サード結構ビビりだから芝で滑るのが怖いんだろうな。スケベでビビりで強いってアイツキャラ盛りすぎでは?
「ぐふっ、ご馳走様でした」
あら、音花ちゃんゲップははしたないザンス。
あ、そういえば二人に聞かないといけないことがあった。
「二人とも菊花賞は現地で見たいかい?」
「え? いいんですか!?」
「見たいです!」
「じゃあチケット手配しておくから、妻橋さんと市古さんと一緒に行って馬房の中とか見せてもらってね。
今のうちに設備を知っておくことも大事だと思うから」
「「ありがとうございます!」」
未来のジョッキーを育てると思ったらチケット代位安いもんよ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます