東京11レース、左回り、2400メートル、第106回東京優駿日本ダービー
『スタンド正面左に今年を代表する優駿たちが続々とゲート入りしております。
1枠1番ダイチサンショウ、鞍上は中浜騎手。
2枠3番マインズアイス、乗り替わりで梅丘騎手です。
3枠5番ゴーワールド、川地騎手。7番のシロアタケは出走取消となっております。
5枠9番、6枠11番に柴戸騎手を乗せたヒガシロケットとウィザー騎手を乗せたオギノクロスが入ります。
今日の主役は譲らない、7枠13番ビュティアイランド。2番人気です。
7枠15番のヤマノオオドロボウ乗っているのは牧田騎手、8枠の17番カガヤクセントー鞍上は吉騎手。奇数番が順調に収まりました。
続いて2番トップオンミー、3番人気。4番アクリームゼウス、6番アマゾンチャック、8番ハネウマサーキット、10番スズノフジヤマ、12番ロータリー、14番ウジタグランパ、人気は4番目。16番アカキケッショウもゲートに入って…。最後に18番堂々の1番人気今年を代表する馬のグリゼルダレジェンがゲートイン! 第105回東京優駿日本ダービー! 今年の誇りと勝負のレースを制すのは誰なのか! ゲートが開いた!! 各馬一斉にスタート!
各馬横並びのまま綺麗なスタートをしました。おおっとカガヤクセントーがズルズル下がっていく。故障発生か? 審議ランプが灯りました。
異常発生でも勝負は続きます。ハナを切っているのは12番のロータリー、力強い逃げで馬群を先導していきます。それに続くのは13番ビュティアイランド、1番ダイチサンショウ。差はそれほどありません。そこから少し離れて内に2番トップオンミー、外に14番ウジタグランパ。その後ろ3番マインズアイス、ここまでが先頭集団です。ここから中団、10番スズノフジヤマ、4番アクリームゼウスが横並び。後方集団は5番ゴーワールド8番ハネウマサーキット16番アカキケッショウ11番オギノクロス9番ヒガシロケット、その奥6番アマゾンチャック15番ヤマノオオドロボウ、最後方に定位置を陣取った18番グリゼルダレジェン!
レースは第一コーナーを回りました。
そのまま第二コーナーに向かいます。
先頭は変わらずにロータリー、しかしその横にべったりとビュティアイランド。三番手にはダイチサンショウ、そのわずか後ろにトップオンミーとウジタグランパが追走。スズノフジヤマとマインズアイスがそれを追いかけて、ハネウマサーキット、ゴーワールド、アクリームゼウス、オギノクロス、アカキケッショウ、ヒガシロケット、ヤマノオオドロボウ、アマゾンチャックの順で縦長だ! 最後方グリゼルダレジェンはまだ動かない! 1000メートル通過時間は59秒6! 平均ペース!
府中の長い直線でも依然ロータリーがハナを進む!
パドックでの大暴れはやる気の証だったのか!
さぁ、そのまま第三コーナーへ向かいロータリーが先頭のままだ! 先行集団は虎視眈々と前を狙っているぞ! 中団は大きく順番が入り乱れる! グリゼルダレジェンはまだ動かない!
先頭のロータリーが第四コーナーを回った! ここからが長い直線! 勝負所だ!
まず先頭のロータリーが…。いやおかしい! ズルズルとロータリーが下がっていく! またしても故障発生か!? 彼を避けて抜け出してきたのはトップオンミーとビュティアイランド! 鎬を削りハナを奪い合う! 1番人気のグリゼルダレジェンはまだ…! いや、動いている! 浅井騎手が必死に鞭で追い現在四番手! いつの間にそこに来た!? 三番手のマインズアイスを抜き! 駆ける駆ける駆ける! 外から桃色の帽子! グリゼルダレジェンが飛んできた! 二番手は!? 凄い脚! 届くか! 届くか! 届くか! 届くか! 届いた! 届いた! グリゼルダレジェン差し切り勝ち凄い脚だ!
グリゼルダレジェン八戦八勝快勝!
二着トップオンミー!
いやぁ凄い脚でした藤勝さん!』
『凄い脚でしたねー。いやあ、牝馬でダービーだけでも凄いのに、あの脚見せられちゃ生まれてきてくれてありがとうしか言えないですよね』
『ははは! まったくその通りです! 三十一年ぶりの牝馬でのダービー勝利! そして現行のレースローテーションでの史上初の変則クラシック三冠! 忘れちゃいけない羅田厩舎初めてのダービー馬! 凄い馬です!』
『ウイニングランに入りましたね、おお! 浅井コールで実況席が揺れていますよ!』
『我々をここまで熱くさせてくれたグリゼルダレジェンに対する返礼は大きなコールとなりました。浅井騎手がスタンドの前に停止し…。大きく手を挙げて親指を折り畳んだ四本指! これは伝説の!』
『皇帝のリスペクトですかね! いやぁ! 度胸があるなぁ! これからもG1戦線を勝っていくという宣言でしょう! 楽しみだ!』
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ミーの勝ちデース。
「いや御強いですね」
美浦トレセンのスタッフがじんわりと飲み込むように言う。
「この一戦にかけてきた思いは皆一緒でしょう。我々が一歩だけ上回った、それだけです」
「くぁー、いいこと言いますね!」
「カッコつけなだけですよ」
苦笑いをしながら戦いが終わったことに一息つく。
勝つと信じていたがダービーの持つ伝統の重さは知らず知らずのうちに俺を緊張させていたらしい。俺もまだまだひよっこってことだな。
「彼女は美浦に戻ってきてそのまま牧場へ?」
「ええ、夏は全休です」
「宝塚で見たかったなぁ」
「来年は見られるんじゃないですかね」
軽口を叩きつつ、椅子から立ち上がり骨を鳴らす。ポキポキと軽快な音が関節から鳴る。
すると、ブルルッとスマートフォンが振動した。確認すると山田君からのメッセージだ。
『全身タイツ買ってきてください』
? なんだこれ。
俺はこの時、深く考えずにそのままタイツを買って帰島したことを後悔することになる…。
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