4
「最近、学校はどうだ?」
夕食の時の、父親の開口一番はそれだった。
またそれか、と思うほどの
「
「……え?」
響は父親の言葉に面食らってしまった。世界がズレるような感覚が襲いかかった。
ともすれば、それは父親にとっては何の気なしに放たれた言葉。何なら、
そんな従順な響。親の望む子ども像。父親の言葉は、そんな
頭蓋から足の指の先に至るまで、鈍痛が走った。
こんな酷いことをする人だっただろうか?
――ああ。
もはや、響の目に映る人間は、父親ではない何かだった。
「……はぁ?」
響は小さく、舌打ちをした。
ピアノが気分転換? コイツは何を言っているんだ? 勉強が
で? ご飯だから来い? ――お前が作った飯じゃないだろ? 母さんが作ったご飯だ!! 自分は家事を何もしないくせに……いやいや、何様だよ?
それに、何だよ。その食い方は? ……きったね。お前が「口に物があるときは喋るな」って言ったんだろうが。じゃあ喋んな。それから、お前のその箸の持ち方、違うんだけど。おかげで、競歩大会の時に恥かいたよ。
食べ方は人生だ。その食べ方を見たらどんな奴かは大抵予想が付くよ。きっと、誤った物事を信じ続けたんだろう。どっちつかずの中途半端な奴だったんだろう。そして、言動や姿勢を取り繕っちゃいるけど、やり方は雑。食い方を見れば分かるよ。
きったねぇクソ野郎だって。
「あー、あとな」
そいつは分かったような口ぶりで。
不快な一言を吐いた。
「もし、好きな人ができても、変な奴とは付き合うなよ?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます