第71話 決勝戦の始まり
今回は短いです。
----------------------------
俺は男をサーシャの護衛の人に引き渡してみんなのところに戻ってみると、既に俺以外の全員が揃っていた。
「すいません、遅れました」
「大丈夫だった? 私は大丈夫だと思っていたわ」
「わ、私もアルトなら絶対大丈夫だって思ってたよ!」
「そうかそうか。心配かけてごめんな。けど大丈夫だ! 俺を傷つけれるのは、それこそ世界四強よりも少し弱い位の人だからな!」
「そこは世界四強って言いなさいよ」
「いや今やったら確実に負けるよ? なんなら人によっては瞬殺されちゃうよ?」
「大丈夫だよ、アルトなら」
「いや2人ともさっきはあんなに心配してくれていたのに、なんでこんなに辛辣なの!?」
俺が大袈裟に悲しむと、2人は安心したかのように笑った。
俺が2人が笑ってくれたことに安堵していると、ドロウ先輩が話しかけてきた。
「アルト、俺が果たすことができなかった不正を暴いてくれてありがとう。アイツには俺の他にも何人もの先輩がやられていた。本当に感謝する」
そう言って土下座をしそうな勢いで頭を下げてきたので、俺は焦りながら返す。
「い、いえ! そんなに感謝されるほどのことではありませんよ! 俺はただアイツが気に入らないからやっていただけで! 本当に感謝されるほどのことはしていません!」
「それでも俺は感謝している。ありがとう」
そう言ってまた頭を下げてくる。
「分かりました! もう大丈夫ですから!」
俺は大慌てでドロウ先輩に頭を上げてもらう。
いやほんとにいい人すぎでしょドロウ先輩。
俺なんてアイツがサーシャ達をくれって言うからボコボコにしただけなんだからさ。
それを感謝されると罪悪感が半端ない。
俺は話題を変える為にユミル会長に話しかける。
「ゆ、ユミル会長っ! 次の決勝戦の相手はどこですか?」
ユミル会長は少し険しい顔になり。
「次は女神教校とだよ。気を付けて、アイツらは怖いから」
「「「……怖い?」」」
「そうだよ。アイツらは熱心な女神教徒だから、勧誘とかを試合中にされるんだ。その時のアイツらの顔は狂っていると言ってもおかしくない」
えーめっちゃ戦いたくなくなったんですけど……。
それに女神教校って多分宗教国だから、注射器を使われないか気をつけないといけないんだよな……。
俺は少しテンションが下がる。
そんな俺を見たサーシャは、苦笑しながらこんなことを言ってきた。
「アルト、次の決勝戦で私達が勝ったら、私と2人で旅行に行こうね?」
…………何? 2人で……?
「本当に!? 2人で旅行に行けるの!?」
「うん! パパにはもう言ってあるの。だから頑張ろうね!」
「勿論さ! 俺が相手の生徒全員倒してやるぜ!」
よっしゃああああ!! 初めてのサーシャとの旅行だ!
なんか新婚さんみたいでいいな……!
一緒の部屋で一緒に寝る……いい!
俺が脳内で妄想していると、ソフィアがジトっとした目で見たきた。
「ズルいわ……。私もアルトと行きたいのに……。サーシャ、私も行っていい?」
サーシャは大慌てで拒否する。
「だ、ダメだよっ! 今回は2人で行くのっ!」
するとソフィアはサーシャの慌てた顔が見れて満足したのか……。
「ふふっ、冗談よ。流石にまだ婚約者でもない私が2人の邪魔はしないわ。婚約者になったら……ね?」
そう言って笑った。
それを聞いたサーシャは安堵のため息をついており、俺は修羅場が訪れなかったことを神様に感謝していた。
神様本当にありがとうございました。
お陰で修羅場が訪れることは無くなりました。
俺が神に感謝していると、ユミル会長が『それじゃあ出場選手を決めよう』と言っていたので、みんなが話を止める。
「今回の試合は僕、ドロウ、アルトで行こうと思う。何か異論はあるかい?」
そうみんなに問うが、誰も反対などしない。
「よし、ならこのチームで行こう。前回は惜しくも準優勝だった……。今回は優勝目指して頑張るぞッッ!!」
「「「「おう(はい)!!」」」」
「それじゃあドロウとアルト、リングに行こう」
俺たちが歩き出すと、サーシャとソフィアが声援を送ってくれた。
「頑張ってねアルトーー!! 一緒に旅行に行こうねーー!!」
勿論さ! その為に頑張ると言っても過言ではない!
「大丈夫だと思うけど、ゆだんだけしないようにするのよ! 油断して負けたら許さないから!」
……よし、絶対に油断しないようにしよう。
ソフィアは怒ったらめちゃくちゃ怖いからな。
まぁサーシャもだけど。
と言うかソフィアのは声援なのか? 微妙に違う気がするが……。
俺は2人の声援を受けてリングへと足を踏み入れた。
----------------------------
作者の新作である、
『モブ以下転生者のゲーム世界無双~序盤で死ぬモブの女の子を守るために最強になったら、物語に巻き込まれました~』https://kakuyomu.jp/works/16817139556823421872
も見ていただけると嬉しいです。
ではではまた次話で。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます