第65話 第2回戦も無双(サーシャside)

 今回も三人称です。

 そして短いです。

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 ドロウが狼の獣人と戦っていた頃、サーシャは猫の獣人と向かい合っていた。


「ねぇ貴方達何者? 私達について来れる人間なんて殆どいないと思うんだけど」


 猫の獣人がサーシャに言う。


「うーんでもそんなに速くなかったから、多分序列5位以上ならみんなついて来れると思よ?」


 サーシャが苦笑いをしながら言うと、猫の獣人が見るからにイラッときていた。


「へ、へぇ……そんなに言うなら追いついて見なさいよ!」


 猫の獣人が突然結構なスピードでサーシャに接近してきた。


「ふっ!」


 スピードをそのままに猫の獣人が鉤爪で攻撃してきた。


「わわっ!? 速いね! アルトの4分の1くらいかな?」


 サーシャはそういいながらも余裕そうに避けている。


 周りから見れば親が子供に稽古をつけている様に見えるだろう。


 それくらい現時点で実力が離れていた。


「ちょっと! どう言うことなのよ! どうして当たらないの!?」


 猫の獣人が文句を言いながら攻撃を続ける。


 それを【身体強化】を使って避けながらサーシャは言う。


「貴方の攻撃は単純なのよね。先程の狼の獣人みたいに武術をやっている感じでもないし」


「あんなの貧弱な人間がやるものなのよ!」


 どうやらこの獣人は種族差別が強い様だ。


 サーシャは少し顔を顰めるが。


(今回貧乏くじを引いたかもしれないなぁ。何か人間のことを毛嫌いしているみたいだし……。でもここで負けるわけにはいけないよね! 勝ったらアルトに褒めてもらえるかもしれないし!)


 持ち前のポジティブ思考でニコニコになる。


 今サーシャの頭にはアルトに褒められることしかない様だ。


 やる気を出したサーシャは、一瞬だけ【身体強化】を1500%で使用して猫の獣人から離れる。


「それじゃあ私も反撃と行こうかな? 【ライトニング】【ライトニング】【ライトニング】」


 一気に同じ魔法を3回撃ち出す。


 どれも中級魔法と人間が当たると重傷を負うレベルだが。


「そんな魔法、予測したら簡単に避けれるわよ!」


 そう言って本当にどこに当たるかがわかっているかの様に避ける。


 これには少しサーシャも驚く。


「……これを避けれるんだ……。速度よりは勘が鋭いって言う感じかな。でもそれだけならなんとかなる! 【ライトニング】!」


 サーシャは再び同じ魔法を撃つ。


「何度やっても無駄よ! ふっ! はっ! ふふん! やっぱりダメダメじゃな……きゃああああ!」


 猫の獣人は全て避けた後にドヤ顔になるが、無詠唱で発動された【ライトニング】に当たって吹っ飛んだ。


「ふぅ……これで勝負あったかな? 早くアルトとアナに褒めてもらおうっと!」


 サーシャは【身体強化】も解除して終わったとばかりに警戒を解く。


 しかし突然衝撃と痛みがサーシャを襲う。


「くはッ!? な、なんで……ちゃんと当たったはず……」


 サーシャのいた場所には、猫の獣人が立っていた。


「あんな弱い魔法で私達獣人がやられるわけないじゃない! 本当はもっと後の試合で使おうと思っていたけれど、今使うわ! 【獣化】ッッ!!」


 猫の獣人がそう叫ぶと、彼女の体に猫の毛が生え出し、見た目が完全に猫そっくりになった。


「これが獣人達の本来の姿よ! これを見た人間はみんな負けているわ。貴方も降参するなら今のうちよ!」


 サーシャはそれを聴きながら、ゆっくりと立つ。


「やっぱり貴方では私に勝てないよ……。私も早く終わらせて他の子のところに行きたいから、そろそろ本気を出すね! 解放リリースッ!」


 サーシャがそう言った瞬間に、体から魔力が湧き出てくる。


「終わりなのは貴方よ! 人間が獣人に劣っていないことを私が思い知らせてあげる! 【ライトニング】【アイススピア】【ウォーターランス】ッッ!」


 サーシャは得意の三重展開トリプルキャストを発動して攻撃する。


 しかし相手もこの大会に出るだけあって中々倒れない。


 サーシャは攻撃を受ける覚悟で魔力を練る。


 それを敏感に感じ取った猫の獣人は、急いで攻撃しようとするが、もう遅かった。


「3属性複合魔法雷神の怒り!!」

 

 そう言った瞬間に、猫の獣人の周りに物凄い霧が立ち込める。


 その為視界を無くして感知も鈍くなった。


 そんな危険な状態で大量の雷が落ち、猫の獣人はガードすら出来ずに気絶する。


 サーシャは今度こそ気絶しているか確認してから魔力を再び封じ込めた。


「ふぅ……久々に大量の魔力を使ったなぁ……でも偶には使っておこうかな? 操作が難しかったもん。でも今はそれよりもアルトとアナに褒めてもらいに行こう!」


 サーシャは意気揚々とソフィアが戦っている場所へ行かずに場外に落ちた。


「「「「「「えええええ!!?」」」」」」


 これには審判も観客も味方と敵すらも驚愕していた。


 していなかったのはアナとアルトくらいのもので、ろくに毎日ずっといるだけのことはある。


 結局アルトはソフィアの試合を見ながらサーシャの頭を撫でることになった。


 その時のことをアルトは、周りの目が死んでいたと語っている。



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 ではではまた次話で。

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