第63話 初戦から無双

 俺とユミル先輩がリングに上がると、既にアナの幼馴染と他の精霊学園の生徒が揃っていた。


「おっ、もう揃ってますよ先輩」


「そうだね。それに先ほどあれだけアルト君に脅されてたのに全く警戒していないなんて…………どうやら全員脳みそのないの連中ばっかりみたいだね」


 確かに言われてみれば、敵の生徒達はみんなニヤニヤしている。


 おいおい、そんな顔したら人気なくなるぞ?


 折角俺やユミル先輩と同じくらいイケメンなのに。


 まぁ俺の場合は良く悪い顔してるって言われるし、人のことは言えないんだけどな。


 いつも悪い顔してるって言われるし。


 俺はアナの幼馴染に言う。


「ちゃんと出てきたんだな」


 俺がそう言うとショーンは少し声を荒げながら言ってくる。


「そう言うお前もな! ただ残念だったな! お前達は2人みたいなのに対して俺たちは3人。それにお前達よりも1人1人が強いぞ」


 どこからその自信が出てくるのか知らないが、俺たちのことを舐めた発言をしていた。


 いやあれだけ俺の殺気にビクビクしていた奴らが良くそんなこと言えたな。


 そのメンタルにはある意味尊敬するわ。

 

 俺とユミル先輩は、ショーンや他の生徒の煽りに一切言葉を返すことなく、いつでも始めれるように構える。


 どうやらショーン達は俺達が構えたのを見て煽るのは意味がないと分かったのか、舌打ちをしながらも構えた。


 両者の準備ができたのを見た司会が始まりの言葉を言う。


「それでは学園対抗戦第1回戦スタートです!!」


 その瞬間にショーン達が魔法を放ってくる。


 ふむ……どうやら口だけではないようだ。


「ユミル会長、どうやらコイツらそんなに弱くないようですよ」


「確かにまあまあ強いけど、この程度じゃアナスタシア先輩を雑魚とは言えないな」


 まぁアナはもう既にS級並みに強いからな……。


 俺たちは今呑気に話をしているが、ショーン達の放った魔法は俺とユミル会長の魔力の圧で勝手に消えている。


「な、何故だ! コイツら何もしていないのになんで俺たちの魔法が消えるんだ……!」


 いやそんなに驚かれても……。


「だってお前達の魔法弱いんだもん」


「多分僕の妹の方が大分上手いね」


「いや会長、ソフィアも十分天才ですから比べてはいけないですよ」


 俺達は魔力を放出しながら会話をする。


 まぁ殆ど俺が魔力を放出しているんだけどな。


 だって会長の魔力が無くなったらいけないし。


 あっそう言えばさっきショーンが言っていたことがあったな。


「なぁ早く精霊術見せてくれよ。正直魔法はガッカリだったからさ」


 俺がそう言うと先程まで無駄に魔法を撃っていたショーン達の顔が真っ赤になっていた。


 おお、怒ってる怒ってる。


 どうやら少し煽りすぎたみたいだ。


 まぁ向こうも煽ってきたし、これでおあいこでしょ。


 俺がそんなことを思っていると、ショーン達が叫ぶ。


「お前ら調子に乗りやがって……! いいだろう! そんなに見たいなら見せてやる! 行くぞ!」


「「おう!!」」


 おっ初めて残りの生徒の声聞いたな。


 さっきまでずっとショーンが話していたし。


 俺とユミル会長が、魔力を練るショーン達を見ていると、3人が同じタイミングで言う。


「「「【精霊召喚】ッッ!!」」」


 そう言った瞬間に、膨大な魔力を持った何かが突然現れた。


「ッッ!?」


「なっ!?」


 これは想像以上だ……【精密感知】をしていたら頭が破裂しそうなほどの情報量だ……!


 俺は【魔力感知】に変えて再びその魔力体を感知する。


 これは凄いな……流石精霊と言ったところか……。


 ショーンが俺たちの反応を見て笑いながら言う。


「ははははは! どうだ! これが精霊様だぞ! そして俺の精霊は、上位精霊のウンディーネだ! これで勝ったな! 行け、ウンディーネ! 【スピリットウォーター】ッッ!!」


 ショーンがそう言った瞬間に、1番魔力の高い精霊が精霊魔法を放つ。


 これは少し本気を出さないと勝てそうにないな。


「会長、ショーンは俺がやるので残りの2人をお願いします」


「まぁそうだね。どうやら精霊とアルトは相性が良いみたいだし。今の僕じゃウンディーネにはギリギリ勝てないからね。じゃあアルトは気をつけて!」


「会長もお気をつけて!」


 俺がそう言うとユミル会長が残りの2人に【ウィンドカッター】を撃ってショーンと引き離していた。


 よし、会長は多分大丈夫だろうから俺は自分の試合に集中するか。


 俺は【身体強化】を2000%で使用して、拳に魔力を纏わせる。


「食らえ! 本気のパンチ!」


 そしてウンディーネの水のレーザービームみたいな魔法を思いっきり殴る。


 すると風船が割れるような音と共に魔法が消えた。


「んなぁ!? そんなバカな! 上位精霊の魔法だぞ!? なんで俺が押し負ける!?」


 ふぅ……めっちゃ手が痛いな。


 先程俺が何故止めれたかと言うと、【魔力吸収】で出来る限り魔力を吸収したからだ。


 これのお陰で大分威力が落ちたから、何とか消滅させることができた。


 あーこんなことなら銃持ってくればよかったな……。


 銃は今アナに預けており手元にない。 


 よって今の俺は素手で戦わないといけないのだ。


 まぁたまにはそれもいいか。


 俺は今度は魔法を撃たれる前にウンディーネに近づくと。


「【魔力吸収:暴走】発動!!」


 俺は【魔力吸収】の制御を手放して暴走させる。


 すると一気に周りの魔力を吸い出す。


 それに1番焦りを見せたのが、ショーンではなく精霊達だ。


 まぁこの魔法は言わば精霊殺しみたいな魔法だからな。


 なぜなら、精霊とは一種の魔力の集合体みたいなものだからだ。


 そんな精霊は魔力を奪われると消えてしまう。


 これ以上ここに居るのは危険だと感じたのか、ウンディーネが物凄い速さでどこかに逃げていった。


 それを見た俺とショーンの顔は対照的だったらしい。


 俺は勝ち誇ったようなドヤ顔を決め、ショーンはこの世の終わりのような顔をしていたみたいだ。


 ショーンに脱落してもらおうと近づくと。


「そ、そんなバカな……俺のウンディーネ最強なはず……族長にも認められていたのに。たかが人間に負けるなんて……嘘だ、嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ」


 なんかめちゃくちゃ壊れていた。


 いや怖いよ!


 それにメンタル弱すぎじゃないか!?


 俺今回そこまでやばいことしてないからな!


 まぁでも今までアナにやってきた罰が下ったと言うことだろう。


 そう思っておかないと俺が悪者みたいになっちゃうからな。


「そろそろ脱落の時間だ。もう2度とアナに近づくなよ? それじゃあ2度と会わないことを祈っているよ」


 俺はそう言って動かないショーンを投げ飛ばして場外に落とす。


 ふぅ……やっぱり精霊は強いな……。


 そう言えば会長はどうなっただろうか?


 俺はユミル会長達が戦っている方を見ると、丁度とどめを指しているところだった。


「これで終わりだよ! 【エアロブラスト】ッッ!!」


 ユミル会長の放った最上級魔法に、エルフ達はなす術なく吹っ飛ばされて場外に落ちていた。


 俺はユミル会長に声をかける。


「会長、すごかったですね!」


「でも精霊がいなくなったのって君のせいだろう?」


 どうやら他の精霊も俺の危険性を感知したみたいだな。


「まぁ……そうですね」


「次はその魔法禁止ね。僕も戦いたいから」


「わかりました」


 俺達が話をしていると、遅れて司会が勝敗を言う。


「しょ、勝者! 王立魔法学園チーム!」


 その瞬間に観客席から沢山の拍手が送られる。


 俺はアナのいるところを見ると、アナは泣きながら拍手していた。


 これで少しは気が楽になってくれればいいんだけどな。


 俺はそんなことを思いながらアナの元へと向かった。



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と言うことでショーンあっという間に撃破です!

やったねアルト! ナイス!

次回はサーシャ達の3人の試合です。

お楽しみに!

 この作品が面白い!まぁいいんじゃない? 早くショーン達を倒してほしい!などと思っていただければ、☆☆☆→★★★にしていただけるとありがたいです!

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 ではではまた次話で。

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