第59話 いざ対抗戦会場へ
選抜チームが決まってから1ヶ月が経ち、いよいよ対抗戦が始まる。
どうやら毎回開催場所が変わるらしく、今年の会場は優勝常連校の魔道学園のある、魔道帝国らしい。
正直言って隣国に行くなんて思っていなかったから、自分の国以外は大して知らない。
ただ今回の国は、絶対になんかヤバそうだなぁ……。
だって魔道帝国とか名前厳つすぎでしょ。
俺の想像だと勝利至上主義で、この国よりも更に属性主義な気がするから、もしそうなら俺とはとことん合わない国になるな。
うーん、めちゃくちゃ行きたくなくなってきた。
流石に全く知りもしない人から蔑まれるのは堪える。
多分その場で泣いてしまいそうになると思う。
だって出会った瞬間『チッ……【不適合者】か』とか言われたら、俺の紙メンタルは一瞬でビリビリになる。
自慢じゃないけど肉体の痛みは耐えれるけど、精神的なものは俺は耐えれんぞ?
だって元陰キャだもん。
まぁこれも全部俺の想像だとなんだけどさ。
一応もしもの時のために目を隠すサングラス持っていこうかな?
主に俺の涙を隠すために。
流石にサーシャ達にはバレたくない。
もし俺が泣いているのがバレて、慰められでもしたら、本当にメンタルが崩壊する。
それだけは避けなければ……!
俺がそんな使命感に燃えながらサングラスを探していると、サーシャとアナが俺の元に来る。
今回はどうやらメイドや執事も同伴OKらしいから、アナを連れていくことにした。
「アルト様、何を探しているのですか?」
「アナ、サングラスない? なかったらどこに売ってる?」
俺がそういうと、なぜサングラスがいるのか分からないという顔で俺を見てくる。
涙を隠すためとか言ったら頭おかしい奴に聞こえるよな……。
「いや、もしものときのためにつかうんだよ」
泣きそうなときにな。
俺がそう言うと、アナは納得していなかったが持ってきてくれた。
よし、それじゃあ行くか!
俺が意気揚々に歩きだすとアナがふとこんな事を言う。
「そう言えばアルト様、魔法鞄忘れていますよ」
…………そういうのは先に言ってくれよ。
俺は魔法鞄を探しに急いで家に戻った。
♦♦♦
鞄を探しに行った後、なんとか集合時間に間に合った俺達は、今電車に乗っている。
もう一度言おう。
今俺達は電車に乗っている。
この世界には自動車が無いから、電車なども無いかと思いきや、どうやら電車は普通に普及しているようだ。
まぁどうせ転生者か転移者が教えたんだろうけど。
因みにこの世界の電車は、魔力で動いている。
しかしそれにしても。
「電車ってめっちゃ快適だなぁ……。一生篭っていたい……」
この電車は高級車なのか、冷房も付いているし、ご飯やふかふかのベッドも付いている。
うん、いつかこの電車を買取りたい。
俺がそんなことを思いながらふかふかの椅子でだらぁとしていると。
「アルト! ダラダラしたらダメだよ! もう降りられなくなっちゃうから!」
とサーシャがベットに寝転びながらビシッとと指をさして言ってくる。
………………。
「ならサーシャもベッドに寝転びながら言わないで?」
俺がそういうと、サーシャがはっとして急いでベッドを降りる。
そして少し顔を赤くしながら俺の前まで来て、再びビシッと指をさして言う。
「ダメだよアルト! ダラダラしたら!」
…………可愛いなぁ。
俺は思わずサーシャを抱きしめて頭をなでなですると。
「なななななアルト!? こんなことみんなの前でしないでよ!? ……こう言うのは2人の時になら幾らでも……ごにょごにょ……」
そう言って顔が真っ赤になるが、腕の中から離れようとはしない。
俺も人が見ている中でなでなでするのは少し恥ずかしかったが、可愛さの前にはそんな感情など吹き飛んでしまった。
少し時間が経ったのち、サーシャは俺の顔を上目遣いで見ながら少し抱きついてくる。
やばい……サーシャがめちゃくちゃ可愛い。
脳がショートしそう。
それにどうやら言葉とは裏腹に全然嫌では無かったようだ。
まぁこれで本気で嫌がられたら俺は軽く3回は死ぬ。
精神的にも物理的にも。
ふと周りを見ると、みんなが温かい目で見ていた。
やめろ!恥ずかしいから見るな!俺が悪いけど!
俺が羞恥に悶えている時でも、サーシャはずっと俺の腕の中にいる。
あれ?サーシャなら俺よりも恥ずかしがるはずなんだけど…………って寝てんのかい!
おっと、勝手に関西弁使ったら関西人にしばかれてしまう。
て言うか絶対に言ったらいけないんだろうけど、寝たらサーシャも思った以上に重いな。
漫画とかで女の子が羽のように軽いと言っていたが、あれは嘘だ。
普通に寝ている時は重たい。
絶対に言わないけど。
言ったら多分サーシャとアナにボコボコにされる。
アナは何故か主人の俺じゃなくてサーシャの味方するんだよな。
メイドなら守ってくれよ。
サーシャが怒ったらめちゃくちゃ怖いんだから。
でも寄りかかられるのは男としては嬉しいと言う感情しかない。
俺はサーシャの寝顔を眺める。
……サーシャの寝顔可愛いんですけど。
前世ではこんな美少女を抱きしめるどころか、楽しく会話すらできなかったからなぁ。
本当にこの世界に来てよかった……!
俺はサーシャをなでなでしながらこの世界に転生できたことを、心から神に感謝した。
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久しぶりのほのぼの回でした。
それと多分サーシャとイチャイチャしているのを書くのは今回が初めてだと思います。
どうだったでしょうか?
この作品が面白い!まぁいいんじゃない?サーシャめっちゃ可愛い!などと思っていただければ、☆☆☆→★★★にしていただけるとありがたいです!
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ではではまた次話で。
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