第55話 観客席での出来事②

 今回も三人称です。

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 サーシャが戦い始めた頃、ソフィアも襲撃者の1人と交戦していた。


「【ファイアボール】【ファイアアロー】」


「【ウィンドカッター】【ウィンドウォール】」


 先ほどからずっとお互いに魔法を撃ち合っている。


 しかし襲撃者は常に攻撃できているのに対して、ソフィアは何度か防御魔法を使っていた。


 これはソフィアが現状不利だと言う事だ。


 ただそれはソフィアもわかっているのか、冷静に対処しており、実力差を殆ど感じさせない。


 襲撃者も中々有効打を与えられない事で逆に苛ついていた。


「チッ……どうしてそんなに冷静でいられる……?」


 襲撃者が初めて話す。


 どうやら声からして女のようだ。


 その質問にソフィアは穏やかに笑い答える。


「この学園に来る前だったらすぐにやられていたと思うわ。でもこの学園には同級生なのに私よりも圧倒的に強い人が2人もいる。それに初めて親友又はライバルとも言える友達もできた。だからこんなところで立ち止まっている時間はないの。それに貴方はどうやら私よりも弱いみたいだから」


 そう言うと女は『は?』と言う顔になる。


 それは当たり前だろう。


 今自分が押しているのに、その相手に自分の方が弱いと言われているのだ。


 そんなことを言われたら誰でも困惑するだろう。


 だがそれを目の前の少女が言っているのだ。


 女はブチギレそうになるのを何とか抑える。


 そしてうっすらと笑みを浮かべて。


「へぇ……ならやれるもんならやってみなさい。返り討ちにしてあげる」


 そう言って【フルフレイム】と言う上級魔法を放つ。


 それをソフィアは【ウィンドウォール】で防ごうとするが、属性の相性が悪く殆ど防ぐことができなかった。


「ぐっ……!? ……やっぱりこのままでは流石に勝つのは難しいわね。………ん?」


 その時ソフィアは【魔力感知】でサーシャが本気を出したことを感知する。


 突如ソフィアはニヤッと笑って女に言う。


「それじゃあ私も本気を出すわ。サーシャも出しているようだし」


 そう言って魔力を練る。


 女は【魔力感知】で魔力が急激に増加する生徒がいたため、『この子もか?』と疑うが全然増加せず、ただただ魔力を練っていた。


「あれ? 君も魔力が何でか知らないけど増えるんじゃないの?」


 女が疑問に思ったことを言うと。


「私は魔力は増えないわよ。私は制限するの嫌いだもの。だから私はこうすることにしたの」


 そう言って魔法を発動する。


「【風王の加護】」


 だが一見何も変わっていない。


 女は思わず呟く。


「何も変わっていないじゃない。なぜあんなに私に勝てると豪語したのかがわからないわ」


 それを聞いたソフィアは。


「なら私をさっさと倒してみなさい?」


 女には絶対に倒せないと言っているように振る舞う。


 それに少し苛ついた女は。


「なら貴方の言う通りに直ぐに終わらせてあげるわ! 【フルフレイム】ッ!」


 女の放った魔法がソフィアに向かっていくが、目の前で突如魔法が掻き消える。


「なっ!?」


 女は思わず声を出す。


 それにソフィアが自慢げに言う。


「これは風を支配する魔法。階位は大体超級魔法の少し下くらいね。だけどこれで貴方の魔法は私には届かない。それじゃあ私の勝ちね! 【エアロブラスト】ッッ!!」


 ソフィアから放たれた最上級魔法が女に襲いかかる。


「チッ!! 【ギガファイア】ッッ!!」


 女も最上級魔法で対抗するが、風を支配しているソフィアの魔法には遠く及ばなかった。


 極大の炎は風に飲み込まれて消え、女も風に巻き込まれた。


 ソフィアはそれを見届けると。


「それじゃあそろそろサーシャと合流しましょうか」


 そう言ってサーシャの元へと向かって行った。






♦︎♦︎♦︎






 一方でドロウは、ユミル同様1人目を一瞬で倒し、現在2人目と対峙していた。


 だがこちらは終始ドロウが押している。


「【ウィンドカッター】ッ! 【ストーム】ッッ!! なぜだ! なぜ効かないんだ!」


 襲撃者の男が魔法を発動させながら叫ぶ。


 半狂乱になりながらもきちんと魔法が撃てているのは、流石の一言に尽きる。


 だが、それよりもドロウが強かっただけ。


「【ウォーターカッター】【アクアブラスト】ッ! それはお前が俺よりも弱いから効かないんだ!」


 そう言って冷静にどんどん魔法を相殺していくドロウ。


 そしてそれを見ながらさらに泣きながら焦る襲撃者。


 最早どちらが悪役か分からない状況になっている。


 しかし現状どちらも大して傷ついていない。


 ドロウが極力当てないように、相手を無効化しようとしているからだ。


 そのおかげで被害は最小限に抑えられている。


 流石副会長と言えるだろう。


 学園のこともちゃんと考えて戦っている。


 ドロウは下級魔法の【ウォーターボール】を相手に放つ。


 それを男はわざわざ中級魔法の【ウィンドカッター】で相殺する。


 そうして男はどんどん魔力が減っていく。


 ドロウが最後に大技を放つ。


 しかしちゃんと相手の魔力量を考えて、相手がギリギリ相殺できるほどの威力にする。


「【アクアストリーム】ッッ!!」


 激流の水が男を襲う。


「ああああああああ! 【テンペスト】ッッ!!」


 男も最上級魔法を撃ち、魔力切れになりながらも相殺する。


 そして魔力切れになった男をドロウはすぐさま捕らえ、計画通りに行ったことを少し喜ぶ。


「よし、これで2人目の捕虜を確保だ。建物への損傷も最小限、捕虜への怪我も最小限。

我ながら完璧にできた。必死に魔力操作を練習していてよかった……」


 ドロウは自分が強くなっていることを実感しながら、他の襲撃者の元へ向かう。



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今回はソフィアとドロウの無双回でした。

ドロウは最早完全試合でしたね。

次回はアルトも出てきます。

お楽しみに!!


 この作品が面白い!まぁいいんじゃない?アルトとドロウ副会長のコンビが見たい!などと思っていただければ、☆☆☆→★★★にしていただけるとありがたいです!

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 ではではまた次話で。

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