第54話 観客席での出来事①
三人称です。
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アルトが化け物となった先輩達と戦っていた頃、観客席ではサーシャ達が襲撃者達と戦闘を繰り広げていた。
「【ライトニング】ッ!」
サーシャが放った魔法は襲撃者に当たる寸前で相殺される。
「むむ、なんでこんなに強い人達が立て続けに襲撃に来るのかなっ!」
サーシャの言葉に反応したのはブラッドだった。
「さぁな!コイツらが先日きた襲撃者達と同じなのかは分からないが、きっと何かあるんだろう!」
そう言いながら【アースバレット】を撃ちまくる。
しかし襲撃者はその全てを避けるか相殺している。
今観客席では15人の襲撃者がおり、ユミル、ドロウ、アイカ、バナー、リーンはもう既に1人づつ倒しているため、後10人にまで減っているが、未だ状況は芳しくない。
その証拠に何人か前回の襲撃者ほどではないが、強い者がいるようで何人もの序列上位者の生徒や教師がやられている。
「それじゃあすぐに倒してアルトのところにいかないとね!」
「おう!」
そう言ってサーシャとブラッドは魔法を発動させた。
♦︎♦︎♦︎
一方でユミルは2人目の襲撃者と一騎討ちをしていた。
「【ウィンドカッター】×10ッ!!」
ユミルがそう言うと一気に10個の魔法が放たれる。
「【アースウォール】」
しかし土の壁に全て防がれた。
しかしユミルは焦らず再び【ウィンドカッター】を放ち牽制する。
冷静なユミルに少し驚いたのか襲撃者が目を見開く。
「お前……ガキにしては冷静だな……。何度か修羅場をくぐっているな?」
男がそう問うとユミルは少し悔しげな表情になる。
「僕は生徒会長で序列1位の癖に前回一瞬で負けてしまった……。だからこの1ヶ月間必死に対人戦を鍛えた。前回はアルトに全てを託してしまったが、今回は俺も自分の守りたい者のためにお前を倒す!」
ユミルの決意と共に魔力が急激に増加する。
これには男も驚く。
「どう言う事だ!? なぜ急激に魔力が上がる!?」
男がそう言うと、ユミルがニヤッと笑う。
「これは僕の自慢の後輩に教えてもらった技だから企業秘密だよ。それじゃあ終わりにしよう! 【ウィンドカッター】×100ッッ!!」
その瞬間に男に向かって先ほどよりも威力の上がった【ウィンドカッター】が100個が放たれる。
男は何とか防御しようとするが、数が多すぎて防ぎきれず切り刻まれる。
ユミルはそんな男に見向きもせず。
「さて、ソフィアは何処にいるかな?次こそは僕が守ってみせる……!」
敗北を知った序列1位は妹の元へ向かう。
♦︎♦︎♦︎
ユミルが2人目の襲撃者を倒した頃、サーシャとブラッドはずっと戦っていた。
「【サンダーボール】ッッ!【ライトニング】ッッ!!」
「【グランドウェーブ】ッッ!【アースバレット】ッッ!!」
2人とも上級魔法も撃っているが、その全てを相殺されるか避けられる。
「チッ……どう言う事だ……。なぜ全くダメージが与えられないんだ?」
ブラッドが苛つきながらそう吐き捨てるが。
「うーん、私たちもだいぶ強くなったと思ったんだけどなぁ……。やっぱり本気でやらないと負けそうだなぁ……」
サーシャは本気でやれば勝てると言っている。
それには襲撃者もブラッドも驚いてサーシャを見た。
「サーシャ王女は本気で戦っていなかったのか?」
ブラッドがそう聞くと、サーシャはあっけらかんとして頷く。
「うん。だって本気でやったらここがめちゃくちゃになるし。でも本気出さないと負けそうなんだよね……。アルトも心配だし、すぐに終わらせよっ!」
そう言ってサーシャはユミルと同じように魔力を解放する。
2人は再び驚く。
その反応はユミルの時と全く同じだ。
そのことは誰も気づいていないが。
今のサーシャの周りには雷が何度も落ちており、足元は凍っている。
サーシャはニコッと笑い。
「それじゃあ第2ラウンドだね!」
と言ったが、2人には悪魔の笑顔にしか見えなかった。
サーシャは襲撃者に向かって。
【ライトニング】【アイススピア】【空間の裂け目】を
これに襲撃者は目が飛び出るほど驚き。
「ば、ばかな……! その歳で
なぜ襲撃者がこれほど驚いているかと言うと、別々の属性を同時に放つことは、魔法使いにとって高等技術だからだ。
それをまだ15歳の少女が
だが襲撃者も
「はぁはぁはぁ……何とか防げた……。魔力はスッカラカンだが……。しかしそれはあの少女も同じの……は…………ず……は?」
襲撃者は間抜けな声を出す。
なぜなら目の前では、新たに
「な、なぜまだ魔力が残っている!? あの技は普通よりも大量の魔力を使うはずだ!」
そう言うとサーシャは。
「んー?まだ10分の1くらいしか使ってないけど」
それを聞いた襲撃者は抵抗を諦めた。
通常1回使うだけで魔力切れを起こす、言わば必殺技だ。
それを後10回も撃てると知って、自分には勝てないと悟ったのだ。
しかしサーシャは止めることなく魔法を放った。
「【ライトニング】【アイススピア】【ウォーターカッター】」
サーシャの放った雷、氷、水の魔法に襲撃者は飲み込まれていった。
その瞬間に大地が揺れるような衝撃が発生する。
「うおっ!?」
先程まで空気になっていたブラッドが体制を崩す。
そして着弾地点にはボロボロになった襲撃者が気絶していた。
しかしサーシャはそんなことは目に入っておらず、アルトのことしか考えていなかった。
「アルト……今度ば私が助けるからね!」
こうしてアルトを助けるために、アルトの婚約者が動き出した。
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はい、今回はユミルとサーシャの無双回でした。
やっぱりアルトの婚約者は強くないとですよね!
次回はドロウとソフィアです。
お楽しみに!
この作品が面白い!まぁいいんじゃない?アルトとドロウ副会長のコンビが見たい!などと思っていただければ、☆☆☆→★★★にしていただけるとありがたいです!
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ではではまた次話で。
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