第53話 【不適合者】の実力②

アルト視点に戻ります。

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 俺が暴れだしてから10分が経ち、大体5分の1まで敵を減らすことができた。


 だがこれから残っている奴らは、どれも序列が50位以内の猛者達。


 まぁだが今の俺に勝てる奴はいないだろう。


 なぜなら今俺は【身体強化】を2000%にまで引き上げ、【硬化】と【加速】を自分に付与しているからだ。


 正直やりすぎだと思わないこともないが、こいつらはどうせ屑なので俺は気にしない。


 俺は目の前にいる序列10位の、確か名前は……ゼノンだったかな?と一騎討ちをしている。


 どうやらコイツも格闘家らしく、ガントレットをつけていた。


 俺は高速の踏み込みで一気に相手の背後に周りまあまあ本気のパンチを撃つ。


 するとゼノンはギリギリ俺の攻撃に腕でガードして反応するが、そのまま両腕を粉砕して吹っ飛ばす。


 それだけでゼノンは気絶してしまった。


 ふん……やっぱり弱いな……。


 俺はカマセの方に顔を向ける。


 するとカマセと周りの挑戦者達が恐怖で魔力が小さくなっていた。


 俺はゆっくりと歩き出しながら話しかける。


「お前達はやりすぎた。俺は普段の事をとやかく言うつもりはないが……今回は許せない。恨むなら自分を恨め」


 するとカマセがニヤッとした。


 まぁ顔は見えないけど雰囲気がそんな感じだ。


 なぜこれ程までに圧倒的に負けているのに、そんな顔ができるのか知らないが、さっさと倒してしまおう。


 俺は一瞬で一番近くにいた挑戦者の懐に入り蹴りを繰り出す。


 すると反応されることもなく決まり、思いっ切り吹き飛び壁に激突する。


 後9人。


 俺は違う挑戦者に向かおうとすると、カマセが何かを言い出した。


「【不適合者】!お前はアイツらがどうなってもいいのかっ!」


 どう言う事だ?


 俺は【魔力感知】で観客席を調べる。


 すると、結界外では大変なことが起きていた。


 なんと観客席を謎の集団が襲撃していたのだ。


 殆どの生徒は逃げ惑い、教師と序列10位以内の参加していない生徒達が戦っていた。


 だがどうやら相手も強いらしく生徒も教師もどんどんやられていく。


 どういうことだ!この前襲撃にあったばっかりじゃないか!


 結界は強化していないのか!?


 それよりもサーシャは!?


 俺は【魔力感知】でサーシャを必死に探す。


 するとどうやらサーシャ達1年S組も戦っているようだ。


 なぜサーシャ達は逃げていないんだ!?


 正直に言ってアイカ以外は足手まといのはずなんだけど……。


 俺は焦りながら結界の外に出ようとするが、なぜが出ることができなくなっていた。


 なんでだ?前は普通に出ることができたのに。


 俺がそんな事を思っていると、カマセが勝ち誇ったように言ってきた。


「お前は俺たちを倒さないと結界内から出れないぞ!」


 はぁ?それだけ?そんなの余裕じゃないか。


「なら一瞬で終わらせてやる」


 俺がそう言うと、カマセや他の挑戦者達も笑い始めた。


 なんで笑っているんだ?

 

 とうとう頭がイカれたか?


 俺が不気味に思っていると、カマセや他の挑戦者達が懐から何かの注射器を出した。


 その瞬間に俺の本能が『この注射器を奪え』と警鐘を鳴らす。


 それに従って俺は急いで奪おうとするが一歩遅かった。


 注射器を指した瞬間、全員の身体の筋肉が異常に発達して、魔力が10倍以上に膨れ上がる。


 くそッ、後少し早く気付いていれば……。


 俺は自分の不甲斐なさに思わず唇をかみしめる。


 だが今更悔やんでも遅い。


 俺はどうすれば最短でサーシャの元に行けるかを考える。


 ふぅ……これは本気を出すしかないな。


 俺は、《魔銃ペネトレーション改》と《魔銃エクスプロード改》を取り出して、制限を解除。


 そして【魔力吸収】を発動して【身体強化】の出力を2300%まで上げる。


 今目が見えないため【精密感知】をMAXで発動。


 俺は化け物となった、先輩達に向かって発砲する。


 久々に聞く『ドンッ!』という鼓膜に響く音とともに、弾丸が先輩たちの元に飛んでいく。


 ここでは死ぬことがないため、手加減無しの本気で撃つ。


 だがそれを化け物共は生身で受け止めやがった。


 なんだよこいつら、強くなりすぎじゃね?


 俺は元先輩達のタフさに驚く。


 すると化け物達が一斉に魔法を放ってくる。


 しかも無詠唱で予備動作などなく。


 俺は咄嗟に避ける。


 だが気がつくとすぐ近くに化け物が来ており、パンチをもろに食らう。


「ぐっ!?チッ!この野郎!」

 

 だが俺はすぐに体制を立て直してお返しのかかと落としを食らわせる。


 しかし、それでも大して効いている様子がなく、更に蹴りを放ってきた。


 俺はそれを回避しながら歯噛みする。


 チッ……このままじゃ勝てない……!


 こいつらが予想以上に強くなっていて中々有効打が決まらない。


 これは……出し惜しみしている場合じゃないな。


 俺は銃を収めて《爆裂銃剣》を取り出す。


 そして【限界突破】を使用する。


 この魔法は名前の通り、自身の限界を一時的に超えることが出来るというものだ。


 その代わり俺でも何日かまともに魔力を操作することもできなくなってしまう。


 そして瞬間に物凄い魔力を消費しだした。


 これは俺の限界だからそんなに持たない……!


 一気に決める!!


「シッ!!」


 俺は今までとは異次元の速度で懐に入り、剣を横薙ぎすると同時に爆裂弾を撃つ。


 その瞬間、目の前で爆弾が爆発したかのような轟音が響き渡る。


 そして俺や当てた化け物だけでなく、周りの全てが吹き飛ぶ。


 俺は、それを気にせずにどんどん化け物を倒していく。


 だが、相手もただでは倒れてくれない。


 俺にもどんどんとダメージが溜まっていく。


 そしてとうとう後カマセだった化け物だけになった。


 俺は早く仕留めるべく接近する。


 だが、驚愕なことに相手が俺の速さについてきた。


 化け物は拳で、俺は銃剣で打ち合う。


 まずいぞ……あと2分ほどで俺の【限界突破】が解けてしまう。


 これ以上こいつに時間を割いている暇はない。


 次で決めて見せる。


 俺は銃剣を構えて昔バラン国王がやっていた技を繰り出す。


「国王直伝、【破斬】ッッ!!」


 その瞬間に俺の剣のオーラに触れたものが全て真っ二つになった。


 それはカマセも例に漏れず、真っ二つになっている。


「はぁはぁはぁ……早くサーシャの所へ行かないと……」


 俺は満身創痍の身体を引きずりながら結界の外に出てサーシャの元に向かった。



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ということで、苦戦しながらもアルトの勝利です。

まぁハンデがあるのでしょうがないんですが。

次話は観客席での様子です。

お楽しみに!


 この作品が面白い!まぁいいんじゃない?アルトとドロウ副会長のコンビが見たい!などと思っていただければ、☆☆☆→★★★にしていただけるとありがたいです!

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 ではではまた次話で。

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