第2章最終話 戦闘の代償(改)

 襲撃者の学園生徒拉致未遂事件が起こってから1週間が経った。


 その間は、当事者達以外は学園は休みになり、復旧作業が進められたらしい。


 まぁ壊しすぎて専門の業者の人にめちゃくちゃキレられたから、イリア校長を含めた俺達で謝ることになったんだけどな。


 因みに1番壊していたのは、まさかのイリア校長だった。


 なんか少し焦っていたから、面倒くさくなってオーバーキルしたみたい。


 まぁそうは言っても、どうやったら隕石が落ちたみたいなクレーターができるのやら。


 それに加減を間違えたと言うには、少し無理がないか?


 俺はと言うと謝りに行ったとき以外はずっと家にいる。


 理由はまぁゼファーとの戦闘で俺の体がボロボロになったから休養的な感じだ。


 医者からは『なんで体はこんなにボロボロなのに魔力回路が壊れていないのかが分からない』と困惑のお言葉をもらった。


 俺の魔力回路はなんでか知らないけど、毎回自然のマナが直してくれるんだよな。


 なので休養中は体が動かないから魔力消費しかしていない。


 一週間ずっとベッドの上だから、正直言ってもう寝れないし。


 それに退屈だし。


 あーこの世界に来て初めてこんなにもゲームや漫画、ラノベがほしいと思ったなぁ。


 そんなことを思っているとアナとサーシャが俺の部屋に入ってきた。


「アルト~!ちゃんと安静にしてる~?してないとダメだからね!」


 そう言って俺に、めっ、としてくるサーシャ。


 ……まじでかわいい。もう女神だよ。正直教会にあった女神像が本当に女神様なら、サーシャの方が可愛いよ。


 俺が心の中で騒いでいるとアナが話しかけてくる。


「アルト様、今日からいつも通り動いて大丈夫らしいです。なので目は見えないかもしれませんがいつも通りに過ごして大丈夫ですよ」


「マジか、やった!やっと地獄の暇生活から解放される!やっほう!」


 俺が嬉しくなって飛び上がると、思いっ切り天井にぶつかった。


「イテッ!…………そうだった。封印解除したのすっかり忘れてた。だからいつも通りだと思ったら全然違ったわけね」  


「アルト様!ただでさえ目が見えていないのに力加減を間違えるのはやめてください!こちらの心臓に悪いです!」


 そう言って駆け寄ってくる。


 アナの言った通り今俺は目が見えない。


 ゼファーとの戦いで使った【永久の瞳】の代償だ。


 医師が言うには一時的なものらしいけど、回復魔法では直せないらしい。


 俺が医師になぜかと聞くと。


『今回君が使ったであろう魔法は、所謂代償魔法に属するものだ。この代償は世界との契約だから直せない。でも2ヶ月もすればもとに戻るだろう』


 と言われた。


 医師なのに魔法についての知識がすごいなと思ったら、元学園の教授だった。


 俺はこの世に代償魔法何ていうものがあるのを聞いたことがなかったので、イリア校長に聞いてみた所。



____________________


●代償魔法


・全ての属性に一つはあり、世界と契約をして発動される世界の理に干渉し、一時的に法則を書き換える魔法。


・使える人は限られる。


・代償は魔法によってそれぞれ違う。


・代償は永遠に残るものもあれば、一時的なものもある


・代償の期間は、それぞれの魔法によって違う。


・代償は、回復魔法などの効果を受け付けない。


____________________



 というのが代償魔法の特徴らしい。


 だから俺はどうやら代償魔法という危険な魔法を作ってしまったようだ。


 それを聞いた時はマジでちびるかと思った。


 いやだって知らない間に下手したら永遠に目が見えなくなってしまうこともあったわけだし。


 まぁそう言いながらこれからもどんどん魔法は作っていくけど。


 それに俺の代償は、一時的なものもらしい。


 その時は思わず安堵の吐息が漏れた。


 だってこのまま目が見えないとか絶対に嫌じゃないか。


 代償は普通の人はめちゃくちゃ困るようだが、正直に言って俺は大して困らない。


 なぜなら【精密感知】を使っていれば、空間を把握することが出来るからだ。


 でも人の顔とかどんな色なのかなどがわからないのが玉に瑕だが。


 それに一般的には一人で代償魔法は発動できないらしい。


 魔力が圧倒的に足りないんだとか。


 そりゃそうか、理に干渉して書き換えるんだし。


 まぁ俺の魔力はほぼ無限だから発動できるのかもな。


 そんな事を考えていると、俺はふと思い出したことがあったため、2人に聞く。


「そう言えば学園って今日からじゃなかったっけ?」


 俺がそう言うと2人が突然ピシッと固まり、数秒後に物凄く焦りだした。


「そそそそうだった!どどど、どうしよう……」


 おお、まさかの忘れていたのか……。


 まぁ俺も今の今まで忘れていたけど。


 ん?なら人のことを言えないって?


 知るか、そんなの口に出さなかったらバレてないから大丈夫なんだよ。


 するとアナが少し挙動不審になりながら言う。


「だだだ大丈夫です。こういう時のために準備をしていますから!」


 そう言って影から俺とサーシャの学園に行くための道具が全て出てきた。


 おお!さすがアナ!……と言いたい所なんだけどさ……いつから俺の物を持っていたんだ……?


 ちょっと怖いんですけど……。


 今度から見られたくないものはバレないところに隠しておこう。


 何を隠すかって?


 それは勿論俺たち男にとってものすごい大切なものだ。


 だってそう言うことはまだダメだからね!


 ていうか。


「このまま行ったら普通に間に合わないぞ」


 俺がそう指摘すると今度はアナまでテンパりだした。

 

 俺はそんなアナとサーシャを見て大笑いしながら『平和だなぁ』と呟く。


 それはしょうがないことだろう。


 ずっと戦ってばっかりだったし。


 まぁ見ることは出来ないんだけどね!


 そんなことを考えていると、笑いすぎたせいでアナとサーシャにボコボコにされてしまった。


 こちとらまだ病人だぞ、なんで殴ったりするんだよ。


 因みにこのやり取りのせいで、学園には間に合わなかった。


 学園でもトップクラスでまともな教師に、『休み明けそうそうに遅刻とは何事かっ!』とお叱りを受けた後。


「学園で久しぶりにまともなこと言われたね」


「うん!」


 と2人で笑いあった。



 (第2章学園入学編 了)


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

これにて第2章は完結です!

どうだったでしょうか?

そして2章の最終話に☆400を超えることができました!

ありがとうございます!!

さてさて、明日から3章のスタートです。

お楽しみに!!


 この作品が面白い!まぁいいんじゃない?アルトとドロウ副会長のコンビが見たい!などと思っていただければ、☆☆☆→★★★にしていただけるとありがたいです!

 また、フォロー、感想、応援コメント、誤字脱字や改善点などを頂けると作者の励みになります。

 ではではまた次話で。



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